中国語を話すキモかわ宇宙人・王さんって何者!? 中国人差別なのか?西側諸国の偏見か?世界中で称賛と論争勃発中!
ある日突然地球に飛来し、なぜか中国語しか話さない目的不明の宇宙人をめぐる異色SF『宇宙人王(ワン)さんとの遭遇』が、10月に日本公開される。ベネチア国際映画祭で創造産業賞を受賞するなど、各国映画祭で称賛と物議を醸した話題作だ。
本作は、つぶらな目に豊かな表情、全体的にはとってもイカっぽい宇宙人「王(ワン)さん」をめぐる異色SF。「言語使用人口が最多」という理由から中国語を話すワンさんと尋問にあたる秘密警察、通訳の女性による会話劇を交えながら、地球訪問の目的が明らかとなっていく。
本作が注目を浴びたのは、日本映画『ヒミズ』がマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)に輝いた、第68回ベネチア国際映画祭。中国語を話す王さんに、地球侵略をたくらんでいると厳しい尋問や拷問を続ける秘密警察。人権を尊重し王さんを守ろうとする通訳の女性。そして予想だにしない結末が話題を呼び、初回上映が終わるや、批評家たちから「今年一番の危険物!」などと評されたという。
米ウォール・ストリート・ジャーナル誌は「この映画は中国の経済力と世界における影響力が高まり、西側に困惑と誤解をもたらしたことを示している」と評論。すると中国の夕刊紙「法制晩報」は、中国語を話すワンさんを侵略者と決め付ける秘密警察を西側諸国になぞらえ「秘密警察はこの宇宙人をもともと理解したくなかったのだ」と反撃。さらに各種媒体が「中国人差別を助長する」「台頭する中国への西側社会の不信」などと追随した。
そんなあわや国際問題に発展する危険をはらんだ本作だが、いざ本国イタリアで公開されると、あまりに異色な王さんのキャラに人気が集中。真面目な場面でも王さんが登場すると吹き出してしまう観客が続出したといい、「王さんがキモかわいい」「拷問シーンに泣いた」などの評判を集め、大ヒットしたとのこと。連日領土問題が報道されている今だからこそ、中国にとどまらず他者への偏見や信頼の意味を本作の王さんの姿を通して考えていただきたい!?(編集部・入倉功一)
映画『宇宙人王(ワン)さんとの遭遇』は10月20日よりシアターN渋谷にて2週間限定公開