野沢雅子、有害図書を映画化した『アシュラ』への思い…初日を迎えて感無量
29日、新宿バルト9で行われた映画『アシュラ』初日舞台あいさつに、野沢雅子、平田広明、主題歌を担当する小南泰葉、さとうけいいち監督が登壇し、初日を迎えた感動をそれぞれが語った。
1970年に発表されたジョージ秋山のコミックをアニメ映画化した本作。原作は貧困にあえぐ人々が人肉を口にする描写が問題視され、有害図書として発禁問題を引き起こした。そのことを聞いた野沢は「発禁なんてとんでもないこと。なぜ、これが発禁になるのか。(この作品から)一番大事なものを見つめないといけないですよ」とメッセージを送る。
かねがね本作への熱い思いを口にしていた野沢。大勢の客で埋まった客席を見渡すと、「今まで劇場版の仕事はいろいろやってきましたが、初日にどれくらいの方が来てくださるかということは気にしたことがなかったんです。でも今回はどれだけ来てくださるのか心配でした。わたしの分身の、かわいいアシュラ君なので、皆さんとお会いできて本当にうれしく思ってます」と感無量の表情だった。
先日、スペイン・バスク地方で開催された第60回サン・セバスチャン国際映画祭で上映された本作は、3回分の上映チケットがすべて完売するなど、世界からも注目を浴びている。さとう監督は「震災の被害をいろいろと受けた日本でこのようなメッセージ性の強いものが作られたのかと皆さんビックリしていました。生きること、命のありがたさを感じていただいたお客さんが多く、大変涙していただきました」と振り返ると、野沢は「最高です! 人間、みんな生きていかないといけないのはアシュラ君と同じですからね」と感激しきりだった。
くしくも本日は「肉の日=29日」というわけで、スペイン産生ハムの塊がステージに登場。登壇者たちは肉の巨大さに「ウワーッ!」とビックリしながらも、さとう監督のお土産のワインと共に、映画のヒットを祈願して祝杯を上げた。(取材・文:壬生智裕)
映画『アシュラ』は全国公開中