経済不況のスペイン、映画祭にデモ隊が直撃!映画祭はスト参加者を支持
経済不況にあえぐスペイン全土で26日、政府の財政緊縮策に対するゼネストが行われ、開催中の第60回サンセバスチャン国際映画祭も直撃を受けた。
スペインでは、今年7月に国家統計局が発表した4~6月の失業率が24.63%を記録。経済的に自立しているバスク地方は失業率約14%と低めだが、それでも日本の失業率4.3%(総務省「労働力調査」より。本年度7月期)に比べると遥かに深刻だ。そんな中、740万ユーロ(約7億3000万円)という大金が投入されて行われる映画祭は攻撃の対象になりやすい。
そこで映画祭ディレクターの映画祭ディレクターのホセ・ルイス・レボルディノは「困難な時代の今、傷ついている人たちに理解を示したい」と早くからスト参加者を支持。この日は朝から公共交通機関は間引き運転で運行され、市内の飲食店のほとんどは閉店されたが、映画祭もメーン会場のみを開けてコンペティション作品など7作を上映し、シネコンなどの関連上映施設はすべて閉鎖。運営スタッフも最小限が出勤し、デモ隊を刺激しないよう派手な広告は黒ビニールで覆い、スタッフの中には私服に着替えて観客の応対をしている人もいた。
多くの海外ゲストを招いての映画祭期間中のストと、60回の歴史の中でも1、2を争う非常事態。レボルディノは「なんとかゲストの皆さんにご迷惑がかからないように対応しなければ」と忙しく会場中を飛び回っていたが、その甲斐もあり、大きなトラブルもなく一日を乗り切った。(取材・文:中山治美)