北野武監督、『アウトレイジ』こだわりの言葉の暴力!
公開されたメイキング映像の中でも特に話題の、映画『アウトレイジ ビヨンド』の怒号シーンについて、北野武監督が舞台裏を明かした。
身体的な暴力シーンが満載だった前作に対し、今回は言葉の暴力に挑んだという北野監督。それを象徴するのが、関西最大の勢力を誇る花菱会幹部(西田敏行&塩見三省)VS.盃をもらいにきた大友(ビートたけし)と木村(中野英雄)の、ののしり合い。「このボケッ!」とかます関西弁に対し、「なんだコノヤロー!」と相手を威圧する関東弁という方言の違いも楽しめる、北野監督もお気に入りのシーンだ。
北野監督は「お笑いの世界でもそうだけど、関西と関東はお互い張り合っているんだよね。それを言葉の違いで表現しようと思ったの。ただ自分はお笑いもやっているからセリフにはうるさくて、特に間とかテンポね。役者さんは自分の間でしゃべるんで、陰で俺が合図を出したりしていたんだけど、ちょっと間が空いたときはそのまま現場でやってもらって、後で編集で詰めたの。途中、あまりにも詰め過ぎて西田さんの動きがテケテケみたいに(不自然な)動きになっちゃったりして。きっと(完成作を観た)西田さんは怒っているんじゃないかな?」とイタズラっぽく笑った。
ただし関係者によると、西田や塩見らベテランと対峙(たいじ)することになり、この日ばかりは俳優ビートたけしも緊張気味だったという。北野監督も、俳優としての自分について「俺は下手だからね。だから監督やっているようなモンだもん。自分のミスを編集したりしてさ」と謙遜(けんそん)。しかし数々の修羅場をくぐり抜けてきた男しか出せない迫力と貫禄は、本作の「全員悪人」の中でも引けをとらない存在感を醸し出している。(取材・文:中山治美)
映画『アウトレイジ ビヨンド』は全国公開中