おもちゃの楽器を演奏するバンドを描いた話題の新作、撮影日数は18日でも音楽は本格派!
おもちゃの楽器を演奏するバンドを描いた話題の新作『ブルックリン・ブラザーズ・ビート・ザ・ベスト(原題)/ Brooklyn Brothers Beat the Best』について、主演の二人、ライアン・オーナンとマイケル・ウェストンが語った。
同作は、彼女に振られ、バンド仲間から首にされたアレックス(ライアン・オーナン)は、ある日風変わりな男ジム(マイケル・ウェストン)から、バンドを結成しないかと突如アプローチを掛けられた。アレックスは、いったんはバンドを結成するものの、ジムが演奏する楽器は子ども用のおもちゃの楽器だったため、不安にかられ始める。だが、そんな型にはまっていないジムに徐々に惹かれたアレックスは、アマチュアバンドの大きな大会を目指してジムとともにロードトリップに行くことを決意するというコメディ調のドラマ作品。本作でライアン・オーナンは主演だけでなく、脚本兼監督も務めている。
ライアン・オーナンは「他の職業(映画)にトライする前から、長い間僕はミュージシャンだったんだ。しかも、バンク系のインディーズバンドで、アメリカ国内をツアーしたこともあったんだ」と語ると、マイケルは「僕はミュージシャンだったことはないが、祖父は偉大なピアニストのアルトゥール・ルービンシュタインで、子どものころから音楽に親しんできたんだ。けれど、子どものころはピアノのレッスンを受けたことがなかったから、この映画のために、ステファニーという女性からピアノレッスンを受けることになった。でも、レッスンを受けている間は、できる限り彼女と話して、たいして演奏しないようにしていたよ……(笑)」と明かした。それでも、家庭環境が良かったのか、マイケルはおもちゃの楽器を使った見事な演奏を披露している。
映画は、ジムとアレックスの二人の関係が興味深いことについて、マイケルは「実は脚本に書かれた台詞が、クレイジーでキツい言葉が多かったために、そんな言葉を発するジム役を探すことには苦労したんだ。このジムというキャラクターは、どんなに彼がクレイジーで無秩序な状態にあっても、そのカリスマ性がもたらす自然さから、人々に(ジムのことを)いとおしく思わせてしまうんだ」と語ると、一方でマイケルは「映画内で、ライアンを(僕の行為で)クレイジーにさせてしまうことは、僕の人生の中でも最も楽しい日々だった(笑ジョーク)。ただ、彼からは(仕返しに)おもちゃの楽器を強制的に練習させられたけれどね(笑)」と語った通り、二人の息の合った凸凹コンビが痛快な作品になっている。
真実味のある音楽にするために「まず最初にライアン監督の要求で、すべての演奏をライブでレコーディングすることにしたんだ。だから、映画内では車の中も含めたあらゆる場所の演奏がライブになっている。そして、リアルタイムで演奏することでごく自然なものとなり、その演奏体験がもともと(即席の)バンドであったものを、しっかりとしたものに構築していくことになった。撮影期間はわずか18日だったが、すべての体験が真実味のあるものになったと思う」とマイケルが明かした。
本作はトロント国際映画祭にも出品された話題のインディーズ作品で、性格のかけ離れた二人の男が、子どものころの夢を現実にしようとする興味深いヒューマンドラマ作品に仕上がっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)