3D業界のキーパーソンが3D市場の展望を語る!アクションだけでなく今後はドラマも!
第25回東京国際映画祭
第25回東京国際映画祭のオープニングを飾った映画『シルク・ドゥ・ソレイユ 3D 彼方からの物語』で黄色と赤にデザインされた限定3Dメガネを配布したRealD社のワールドワイド・シネマ部門代表ジョー・ペイショート氏が、今後の3D市場について初めて日本のメディアに語った。
映画『シルク・ドゥ・ソレイユ 3D 彼方からの物語』場面写真
現在、世界50パーセント以上の3Dシェアを誇るRealD社は、世界で2万1,000以上のスクリーン、日本を含めて約68か国に3Dシステムを導入しており、世界の興行会社トップ5がRealDのシステムを採用している。その統括をしているペイショート氏は今後の3D市場を左右するといっても過言ではない人物で、今回の取材中も携帯には世界各国から続々とメールが届き「太陽と共に仕事先が移動していく」と明るく笑っていた。
RealD社の社外取締役には、映画監督ジェームズ・キャメロンの名前も。ペイショート氏は「『アバター』はもちろん、『タイタニック 3D』や今回の『シルク・ドゥ・ソレイユ 3D 彼方からの物語』など、ジェームズの3Dに対して細部にこだわる姿勢が映画の歴史を変えてしまった」とキャメロンがRealDの技術的向上に多大な貢献をしていると明かす。また、キャメロン以外にもRealDの3D技術に信頼をおいている監督は多く、マーティン・スコセッシ、ピーター・ジャクソン、アン・リーなどそうそうたる面々が、積極的にRealDの3D技術を導入している。ちなみにスコセッシ監督は、自分専用の度入り3Dメガネを愛用しているほどなのだとか。
今後の3D映画について話が及ぶとペイショート氏は「来年は3D映画豊作の年になるだろう」ときっぱり。「ハリウッドでは今年36本の3D映画が発表されたが、来年はすでに50本の新作が公式発表されている」とその理由を語り、「今までの3D作品はアクションやアドベンチャーものが主流だったが、これからはドラマにも3Dが利用される」と3D映画の主流が変化していくことを予測する。
しかしペイショート氏は「世界で3Dシステムを提供している競合他社5社と一緒になって、最上の3D空間を作り上げないと、3D初体験のお客様に信頼されずにこれ以上の市場が広がらなくなる」と続けており、現状維持では3D業界に未来はないとひしひしと感じているよう。「作品の素晴らしさ、映画館の環境向上、そして3Dシステムの技術向上など、映画業界一丸となって切磋琢磨(せっさたくま)しないと成長できなくなる」と3D業界をリードする会社としての責務を真摯(しんし)に語っていた。(取材・文:高松美由紀)
映画『シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語』は11月9日よりTOHOシネマズ 有楽座ほかにて全国公開
第25回東京国際映画祭は10月28日まで六本木ヒルズほかにて開催