ベン・アフレック監督最新作は批評家も観客も大満足!おバカ・セレブから見事返り咲き
ベン・アフレックの監督第3作で、イラン・アメリカ大使館人質事件を題材にした実録ドラマ『アルゴ』が、アメリカの映画批評サイトRotten Tomatoesで、評論家、観客共に95パーセントの満足度を記録し、アカデミー賞ノミネートが有力視されている。一時はスキャンダルにまみれ、低迷した彼がなぜ復活できたのか……? 波瀾(はらん)万丈の軌跡を振り返る。
クリント・イーストウッドをはじめ、ショーン・ペン、ロバート・レッドフォード、ジョージ・クルーニーら俳優から監督業に進出し、成功を収めたスターは少なくないが、その中でも近年目覚ましい活躍を遂げているのがベン・アフレックだ。マット・デイモンと共同で脚本を手掛けた『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』でアカデミー賞脚本賞を受賞していることからも、もともと彼には映画作りの才能があったといえる。
『アルマゲドン』『パール・ハーバー』といったヒット作に恵まれながらも、当時の恋人ジェニファー・ロペスと共演した『ジーリ』が興行的に失敗しラジー賞ワーストスクリーンカップル賞受賞の不名誉に。その後、ストリップクラブ通いをマスコミに面白おかしくかき立てられ、ジェニロペとも間もなく破局と、踏んだり蹴ったり。盟友のマット・デイモンがジェイソン・ボーンシリーズや『オーシャンズ』シリーズの成功で着実にキャリアアップする一方、ベンはスキャンダル続きですっかり「おバカ・セレブ」に堕(お)ちた。
それでもめげずに、「スーパーマン」シリーズの主演俳優ジョージ・リーヴスの死の謎に迫るサスペンス『ハリウッドランド』でベネチア国際映画祭男優賞を受賞し、実の弟であるケイシー・アフレックを主演に迎えた『ゴーン・ベイビー・ゴーン』で監督デビュー。残念ながら日本では未公開に終わったものの、アメリカの批評家たちは絶賛。続く監督第2作『ザ・タウン』は、興行的な成功も収めたほか、ジェレミー・レナーがアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたことで、ベンアフの評価は右肩上がり。
SFアクション、コメディー、ラブストーリー、社会派ドラマなど、俳優としてもオールジャンルをこなしてきたように、ベンがメガホンを取った3作もまた多様だ。何度もコンビを組んできた奇才ケヴィン・スミスをはじめ、ガス・ヴァン・サント、マイケル・ベイ、ジョン・ウー、ジョン・マッデン、ケヴィン・マクドナルド……名だたる監督たちの演出を受けてきた経験が、見事に監督業に結実した。最新作『アルゴ』で、彼のさらなる飛躍を目撃してほしい。(編集部・石井百合子)
映画『アルゴ』は全国公開中