携帯を同期する機能から、趣味・思考を探るシステムまでも! 専門家が警告する情報化社会
携帯電話やネットなどが欠かせない情報化社会に生きる今、ニューヨークでは監視カメラに映らずに歩ける通りはほぼないという事実が、明らかになった。
この事実は、アメリカで大ヒット中のテレビドラマ「パーソン・オブ・インタレスト」のブルーレイの特典映像で明らかにされている。この特典映像には、スタッフやキャスト、また専門家が「監視社会」について警告を促すインタビュー映像が収められている。
カリフォルニア大学のブルッキングス研究所上級研究員のジョン・ビラセナー博士は「この10年ないし15年の間に情報の分析や蓄積能力が飛躍的に進歩した」と情報化社会について言及。一方で「プライバシーの面で懸念が生まれてしまった」と語る。驚くことに、現在ニューヨークでは数え切れないほどの監視カメラが設置されており、カメラに映らずに歩ける通りはほぼないという。
本作では、主人公がターゲットの携帯電話の通話を盗聴したり、メールを同期する「ペアリング」機能を使うエピソードがある。ペアリング自体は実際に存在する機能だが、近い未来、本作のような機能が簡単にできてしまうかもしれない。「携帯は個人情報の塊さ。音声が聞けて位置もわかるし、SNSやネット閲覧の内容もわかってしまう」と語るのはジョナサン。自分の情報が第三者に渡っていたら? 使い方によっては恐ろしい機能だ。
また、この特典映像で興味深い内容が収められている。それは、現在広告業界がわれわれの行動や、身元、趣味の対象、思想までを追跡する巨大なマシンを構築しているとのこと。ジョナサンによると「その人が欲するものを解析した上で、クリックしそうなバナーを表示する。情報の間に優劣はまったくないんだ。買い物の中身も、殺したいと思う相手も情報としては同レベル。心の中を読まれているんだからね」とのこと。コンピューターにすべてを把握される時代が来てしまったといっても過言ではない。
では、われわれはそんな社会でどう暮らしていけば良いのか。ジョン博士は「ほとんどの人が個人情報保護方針を読まず、『同意する』をクリックしてしまう。実際に読むと自分が何を放棄したか驚くだろう。もっと自分で自分を守ってほしい」と訴える。情報化の時代に生きる今だからこそ、自分で身を守るすべを見つけなければならないのかもしれない。
フィクションでありながら、現実に起こりうる状況を提示する「パーソン・オブ・インタレスト」。本作を観れば、一つ先の未来が見えてくる。(山元優)
「パーソン・オブ・インタレスト<ファースト・シーズン>」
ブルーレイ&DVDリリース中、オンデマンド配信中 / DVD Vol.1 1枚組(3話収録)980円(税込み)/ ブルーレイ コンプリート・ボックス(4枚組)1万7,000円(税込み) / DVDコンプリート・ボックス(11枚組)1万5,000円(税込み)