イングリッド・バーグマン主演『秋のソナタ』デジタルリマスター版上映!芥川賞作家・柳美里がトークショー
ハリウッド黄金期を代表する美人女優イングリッド・バーグマンが、巨匠イングマール・ベルイマン監督とタッグを組んだ1978年製作の映画『秋のソナタ』のトークショーが21日に都内で行われ、ベルイマン作品のファンである芥川賞作家の柳美里が出席し、親子の激しい愛憎入り乱れる本作の魅力を語った。
本作は、国際的なピアニストで、恋愛経験もきらびやかな母親シャロッテ(バーグマン)と、母に抑圧されて育った娘エヴァ(リヴ・ウルマン)との壮絶な確執を描いた人間ドラマ。ゴールデン・グローブ外国映画賞や全米批評家協会賞主演女優賞ほか数々の賞を受賞したこの名作が、1982年に67歳で世を去ったバーグマンの没後30年を記念して、今回日本でデジタルリマスター版で上映されることとなった。
「家族シネマ」「命」など、家族をテーマにした作品で知られる柳。この日、観客と一緒に改めて作品を鑑賞した後トークを始めた柳は「いい映画を観た後はしばらく話さないけど、この映画も観終わった後、しばらくだまりたくなるような映画。(舞台となる)家の中に逃げ場がなく、(母と娘の)追い詰め合いがすさまじいですね」と劇中での母と娘の濃密なやりとりに圧倒されている様子。
また、柳は「(劇中での母と娘は)個人的に母とわたしの関係と似ていてかぶるところがあります。わたしの母も、わたしが子どものころに父を捨てて家を出て、やがて戻ってきて今度はわたしを連れて愛人の元に走った。そのころわたしもヒロインのように、母からいろんなことを強制されていたので、観ていて苦しいところもありました」と自身とヒロインにかなり共通点があることを明かした。それから「最後にヒロインが母親をあそこまでののしって、母が去ってからもまだ(母からの愛を)あきらめないというのがすさまじい。その愛の強さ。素晴らしい映画だと思います」と絶賛した。
そのほかにも、柳は衝撃を受けたというベルイマン監督のほかの作品『処女の泉』『野いちご』『第七の封印』のお気に入りのシーンなどについて熱く語った。今後、これらの作品も日本でデジタルリマスター版での連続上映が予定されているが、このことについて柳は「わたしは全部観に行きます! いつかやらないかなと思っていた。10代のころに観た作品が、今44歳になってまた映画館で観ることができるのはすごく楽しみです!」と顔をほころばせていた。(古河優)
映画『秋のソナタ』は渋谷ユーロスペースにて公開中ほか全国順次公開