全米監督組合賞とアカデミー賞の関係 ノミネーション発表でアカデミー賞への影響は?
第85回アカデミー賞
第65回全米監督組合賞(DGA賞)ノミネーションが発表され、アカデミー賞有力候補と目される作品でメガホンを取った監督たちが名を連ねた。
第65回全米監督組合賞長編映画部門にノミネートされたのは、映画『アルゴ』で初のノミネーションとなったベン・アフレック監督、映画『ゼロ・ダーク・サーティ』のキャスリン・ビグロー監督、映画『レ・ミゼラブル』のトム・フーパー監督、映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のアン・リー監督、そして映画『リンカーン』のスティーヴン・スピルバーグ監督の計5名。
今回ノミネーションを逃した意外な顔ぶれの中には、映画『ジャンゴ 繋がれざる者』のクエンティン・タランティーノ監督、映画『世界にひとつのプレイブック』の監督デヴィッド・O・ラッセル監督がいる。タランティーノ監督は過去に映画『イングロリアス・バスターズ』と『パルプ・フィクション』でノミネートされており、ラッセル監督は映画『ザ・ファイター』でノミネーション歴がある。両監督ともオスカー獲得の有望株だけに、意外に思った関係者も多かったようだ。
全米監督組合賞にノミネートされなかったからといって、アカデミー賞で不利になるというわけではないのだが、全米監督組合賞を受賞すると、非常に高い確率でアカデミー賞も受賞するというデータがある。過去65年の歴史で、アカデミー賞監督賞の受賞者が組合賞と一致しなかったことはたったの6回しかないという。また、全米監督組合賞で受賞した監督の映画がアカデミー賞の作品賞を逃したという記録はたったの13回という統計も出ている。
だが統計は統計で、結果ではない。例外は13回もあったという見方もできるわけで、記憶に新しいところでは1995年に映画『アポロ13』のロン・ハワード監督が全米監督組合賞で受賞したが、アカデミー賞は作品賞、監督賞共に映画『ブレイブハート』が受賞。そして2005年には映画『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー監督が全米監督組合賞を受賞し、アカデミー賞監督賞も受賞したが、作品賞は映画『クラッシュ』に授与されている。
つまり、タランティーノ陣営もラッセル陣営も諦めるにはまだ早すぎるということ。オスカー像獲得へのレースはこれからが本番である。(文・ロス取材: 明美・トスト/Akemi Tosto)