工藤夕貴、アイドルから国際派女優への道!芸能活動30年を振り返る
今年で芸能生活30周年を迎える女優の工藤夕貴が、自身の女優人生を振り返った。アイドルとしてキャリアをスタートさせた工藤はその後、相米慎二、ジム・ジャームッシュ、スコット・ヒックスといった国内外の一流監督の作品に数多く出演し、国際派女優としての地位を確立している。
かつてハリウッドに軸足を置いて活動していた工藤は、父親の病気をきっかけに2005年に帰国。その後結婚し、現在は静岡県に居を構えながら富士山の見える自宅の裏庭の畑で無農薬野菜を育て、近所の田んぼで収穫した米を使って日本酒を仕込むなど、自給自足の暮らしを送っている。
そのため、現在は女優業と農業という二足のわらじを履いているが、「私生活から女優であり続けたいという気持ちはありません。自分にとっては農業も女優業も同じくらい大事」とあくまでマイペースを貫く。「農業って種から命を作るので、ものすごくクリエイティブな作業。好きなことをやることが女優としての肥やしとなり、人としての肥やしになるんです」と語るそのまなざしに迷いはなかった。
そんな彼女の人生で転機となったのは、アイドルとして人気を集めていた15歳の頃に聞いた「アメリカは、アカデミー女優でもオーディションを受けなければ役をもらえない実力社会」いう言葉。これをきっかけにアメリカ映画出演を願った工藤は、17歳のとき『ミステリー・トレイン』に出演。その後も数少ない日本人女優としてハリウッドで活躍した。「勇気を出して一歩を踏み出すことで、そこから人との縁ができる。人生って案外そうやって広がると思うんです」と工藤は自身の女優人生を振り返った。
「大人の家出」をテーマとした『カラカラ』で工藤が演じた主婦の純子は、ひょんなことから知り合ったカナダ人男性と一緒に沖縄を旅することで自分の人生を見つめ直していく。その姿は、一歩を踏み出すことで人生の新たな可能性を広げてきた工藤の人生にも重なるようだ。「その時その時で後悔のない生き方をしたいですよね」と語る工藤は、「純子も一歩を踏み出すことで息抜きを感じるんです。この映画から、ちょっとした勇気や優しい希望を受け止めてもらえたら」と笑顔を見せた。(取材・文:壬生智裕)
映画『カラカラ』は全国順次公開中