世界30か国で上映され、全米で大ヒット!銀座のすし職人を追ったドキュメンタリーがついに日本公開
2日、東京・銀座にあるすしの名店「すきやばし次郎」に、アメリカ人監督が密着したドキュメンタリー映画『二郎は鮨の夢を見る』の初日舞台あいさつが都内で行われ、本作で企画協力と出演を務めた料理評論家の山本益博が製作の裏話などを語った。
今作はミシュラン6年連続三つ星に選出された銀座の名店「すきやばし次郎」の店主・小野二郎さんと、すし職人の世界に迫るドキュメンタリー。そのすしの味に魅了されたアメリカ人のデヴィッド・ゲルブ監督が3か月にわたり二郎さんに密着取材を敢行し、職人としての生きざまや、息子や弟子たちとの師弟関係を描き出す。世界的名店を支える者たちの誇りと仕事への情熱が、深い感動を呼び起こす秀作だ。
山本は「4年くらい前に、『おすしと築地とテーマにドキュメンタリーを撮ろうとしているアメリカ人がいるが、彼にアドバイスをしてくれないか』と言われ、「すきやばし次郎」を紹介したのがきっかけ。最初は二郎さんに断られたけど、何とか交渉して撮影するうちに、気に入られるようになった。デヴィッドの真面目な姿勢が通じたんでしょうね」と撮影当時を述懐。
そして完成作について「外国の方が日本を撮ろうとすると、エキゾチックになりすぎることが多いですけど、この作品はそれがいっさいない。日本映画でもこんなに、職人仕事を丁寧に追いかけるような作品はなかったのでは。デヴィッドは自分の父親との関係の共通点を、二郎さんと息子さんの関係に見出したのでは。だから、親子という関係を横に置きながら、厳格な仕事を息子に伝えようとする姿勢を撮りたいと思ったのではないかな」と分析した。
本作はすでに世界30か国で上映されている。とりわけニューヨークでは口コミで評判を広め、たった2館からのスタートでありながら最終的に250万ドル(約2億円・1ドル80円計算)以上の興行収入を記録するなど異例のヒットを記録。そのせいで最近の二郎さんは海外ですっかり有名人になったといい、山本は「今では二郎さんと一緒に写真を撮りたくて、朝10時くらいに外国人が店の前で待っているんですよ。日本で公開が始まったら、どうなるのかな。二郎さんも言っていたけど、特に若い方にこの映画を観ていただきたいですね」と呼びかけて締めくくった。(古河優)
映画『二郎は鮨の夢を見る』はヒューマントラストシネマ有楽町、ユーロスペースほか全国順次公開中