村上隆、映画監督初挑戦で追求したのは現代日本のリアル!3部作構想明かす
世界で活躍する現代美術家・村上隆が15日、初監督を務め、原案とキャラクターデザインも手掛けた映画『めめめのくらげ』の特別フッテージ上映会が開催され、上映後に村上監督がティーチインを行った。
本作は、東日本大震災後の日本を舞台に、大人たちには決して見えない不思議な生物“ふれんど”と子どもたちの交流を、実写とCGを駆使して描き出すファンタジー作品。主人公を『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』の末岡拓人、ヒロインを『きいろいゾウ』の浅見姫香が演じる。そのほか染谷将太、窪田正孝、斎藤工、鶴田真由、津田寛治らが脇を固めている。
10分間のフッテージ上映の後、登壇した村上監督は「自分はアーティストとして20年くらいのキャリアがあって、海外でもそれなりに知られていますが、日本ではほとんど発表の場がない。しかし自分の作品のエッセンスは、日本で自分が生まれ育った1960~1970年代のサブカルチャーを背景にしている。そういったエッセンスを日本の皆さんとも共有できるような媒体として、映画を作ることをずっと模索していました」と映画製作へ強い思いを持っていたことを明かす。
そして「この映画の実写の企画を立ち上げたのが2011年3月下旬。当時は『(東日本震災からの復興へ向けて)もう一回立ち上がろう』というメッセージが伝えられればいいと思いましたが、作っていて2年も経つと、(映画を作る)動機もずいぶん変わってきました。震災を契機に、戦後日本の文化そのものの、ゆがみみたいものがはっきり見えるようになった。日本人同士なのにコミュニケーションがうまく行き届いていないのではないか、という亀裂が見えたんです。震災からの復興もそうですが、やはり日本の現代のリアルを追求しようと思ってこの映画を作りました」と作品に込めた思いを熱く語った。
「2年間、この作品に注力してきた。僕なりには自身作なので、ご期待下さい」と自信の表情を見せる村上。すでに続編も撮り終えているそうで「3作目までは映画で作りきろうと思っていますし、チャンスがあればテレビシリーズとか、マルチメディアでむこう10年間このタイトルは続けていこうと思っている」と今後の展望を大きく描き、最後には、映画に登場するキャラクター「くらげ坊」の着ぐるみとにこやかに記念撮影に応じて締めくくった。(古河優)
映画『めめめのくらげ』は4月26日よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国順次公開