佐藤浩市、思わず吉瀬美智子を追い掛ける中年男性の心理を解説!
宮本輝の同名小説を映画『八日目の蝉』の成島出監督が映画化した『草原の椅子』に主演した佐藤浩市、西村雅彦、吉瀬美智子が、作品について語った。佐藤は、リストラ、幼児虐待など重たいテーマを含んだ本作について「人間は誰でも悩みはあるけれど、前向きに生きていかなきゃしようがないじゃないかという人間賛歌にもなっています」と明かす。
そんな物語の軸となるのは、佐藤演じる遠間と、彼が50歳過ぎてから親友になる富樫(西村)との関係だ。西村はこのような関係は現実的ではないかもしれないとしながらも「でも、映画を観た人たちがそこにうそを感じないのであれば、こういうことが自分にも起きればいいのにという願望があるってことじゃないでしょうか。実際、自分も憧れます。でも、本当に突然誰かに『親友になってくれ!』と言ったら、拒否されそうですけどね」と笑う。
遠間は、富樫との友情を深めていく一方で、吉瀬演じる貴志子に惹(ひ)かれていく。二人が知り合うきっかけとなったのは、雨の日に和服姿の貴志子を遠間がタクシーの中から見掛けたこと。吉瀬は撮影を振り返り、「成島監督から、貴志子が雨の中に飛び出す瞬間が大事だって言われたんです。その一瞬に男はほれるって(笑)。だけど、そんな男性の心理はイマイチわからなくて」と少し戸惑った様子。
遠間は思わずタクシーを止めて貴志子の後を追い、彼女の店に入っていく。佐藤はそんな遠間の行動を「別にナンパしようって訳じゃなく、彼女が何をしている人なのかを見ようと思っただけ。オヤジの小っちゃなスケベ心がなせる業。自分で言うのもなんだけどかわいいんですよ」と照れ笑いで解説した。
今回、ロケを行ったパキンスタン・フンザまでは、首都イスラマバードから陸路で30時間という過酷な旅となったが、世界最後の桃源郷といわれる壮大な景色は圧巻だ。「観客が自分の現実と照らし合わせて共感できる部分を見つけて、映画の世界の住人としてフンザの地に立って、希望の光を感じてくれたらうれしい」と西村。佐藤も「人と人とが関わり合いを持つ中で生まれるものは『1足す1は2』ではなく、それ以上のもの、ということを持ち帰れるはずです」と出来上がりに自信を見せる本作を、劇場の大スクリーンで楽しんでほしい。(取材・文:前田かおり)
映画『草原の椅子』は2月23日より全国公開