藤原竜也、必死に食らいつく!井上ひさし幻の遺作へ新たなる思い
劇作家・井上ひさしが亡くなる寸前まで執筆に意欲を燃やしていた作品「木の上の軍隊」が、藤原竜也を主演に迎え、若手作家・蓬莱竜太と演出家・栗山民也によって舞台化された。幻となった井上版でも主演を務める予定だった藤原が、3年越しの夢をかなえ、上演を迎える本作について語った。
本作は、2年もの間、終戦を知らずに沖縄県・伊江島のガジュマルの木の上で暮らしていた日本兵2人という実在のエピソードを基にしたドラマ。新兵役を藤原、上官役を「相棒」シリーズで注目の山西惇、そして実に11年ぶりの舞台出演となる片平なぎさが「語る女」(演出家いわく、ガジュマルの木の精霊)にふんし、2時間ぶっ通しの三人芝居を展開する。
今回、蓬莱が新たに書き下ろした戯曲について藤原は「(井上)先生のご遺志を受け継ぎながら、戦争を知らない若い世代の心にもしっかり届く素晴らしい作品になっている」と手放しで絶賛。しかし、「実際に演じてみると大変ですね。ほとんどがガジュマルの木の上で2時間休憩なしのノンストップ劇、ちょっと気を抜くとセリフが飛んでしまう恐さがある。今はもう、必死に食らいついている状態ですね」と苦労も明かした。
巨匠たちに愛されるその高い演技力から、「孤高の俳優」のイメージが強い藤原だが、本人は至ってニュートラル。「オファーをいただければ、その出会いを大切にしながら、与えてもらった役を一生懸命に演じるだけ。チャンスがあるなら海外映画にも出てみたい」とあっけらかんと語る。
そんな藤原は、映画と演劇、それぞれの魅力を認めながらも、本作の過酷なけいこを重ねるうちに、「舞台こそ自分が自分でいられる『自己確認』の場所」と再認識したことを明かす。演技については「作品の核となるテーマ、メッセージを演出家や作家との対話のもと考え、とにかく戯曲と真摯(しんし)に向き合い、お客様に直接何かを問い掛けるのではなく、舞台を存分に楽しんでいただくことが仕事」という考えの下、取り組んでいるという。戦争を題材にした舞台「木の上の軍隊」で、どこまで役に食らいついた演技を見せてくれるのだろうか? 上演が楽しみだ。(取材・文:坂田正樹)
舞台「木の上の軍隊」は 4月5日から29日までBunkamuraシアターコクーンにて、5月3日から6日まで天王洲 銀河劇場にて上演 問い合わせ先:ホリプロオンラインチケットhttp://hpot.jp
【名古屋公演】2013年5月10日(金)~11日(土) 名鉄ホール
【大阪公演】2013年5月16日(木)~19日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【愛媛公演】2013年5月21日(火) 宇和文化会館
【長崎公演】2013年5月25日(土)~26(日) 長崎市公会堂
【広島公演】2013年5月28日(火)~29日(水) 上野学園ホール
【北九州公演】2013年6月1日(土)~2日(日) 北九州芸術劇場 大ホール