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『ブルーバレンタイン』の監督が明かす、再びライアン・ゴズリングとタッグを組んだ『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』とは?

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デレク・シアンフランス監督
デレク・シアンフランス監督

 映画『ブルーバレンタイン』で衝撃的なデビューを果たしたデレク・シアンフランス監督が、新作『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』について語った。

映画『ブルーバレンタイン』写真ギャラリー

 同作は、バイクスタントの巡業で生計を立てるルーク(ライアン・ゴズリング)は、1年前に一夜を共にした女性ロミーナが自分の子どもを出産していたことを知る。彼はすぐにスタントを辞めて自動車整備士になるが大した金にならず、同業者のロビンに誘われ銀行強盗を実行して大金を手に入れる。だが、警官エイヴリー(ブラッドリー・クーパー)に目を付けられ、追われていくというドラマ作品。映画は3部構成で、1部はルーク、2部はエイヴリー、そして3部はルークとエイヴリーのそれぞれの子ども、ジェイソンとAJが描かれている。

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 3部構成はどのように形成されたのか。「妻が2人目の息子を妊娠していた6年前に、この脚本を書き始めたんだ。自分の子どもに何かを残していくためには、自分が洗いざらいクリーンになる必要があると思った。それはカトリック教徒として育った僕は、これまで自分がしてきたことに何らかの罪の意識を感じていたからだ(笑)(特に犯罪を犯していたわけではない)」と語り、また「当時作家ジャック・ロンドンの作品を読んでいて、アメリカの先祖、部族などについて考えさせられ、ある小さな町に住む二つの家族の親と子どもが交錯していく構想を考えた」と答えた。

 映画内ではルークとエイヴリーが善と悪の狭間で困惑する。「個人的に僕はヒーローと思える人物に会ったことがないし、悪人と言い切れる人物にも会ったことがない。つまり、白黒はっきりつけられないグレイな人々に多く出会ってきた。この映画もある意味で、そんな白黒付けられないグレイエリアな箇所が多く含まれている」と、観客にその判断を委ねている。

 ライアン・ゴズリングとの再タッグは「『ブルーバレンタイン』の撮影に入る2年前、ライアンと食事をしたときに、『君は若い年齢で多くのことを成し遂げたが、まだ何かやりたいことがあるかい?』と彼に聞いたんだ。すると彼は、『いつも銀行強盗をしたいと思うが、刑務所に入ることが怖くてできない』と言ってきた。僕はちょうど銀行強盗をするキャラクターを書いていることを明かし 、どのように銀行強盗したら面白いと思うか彼に尋ねたんだ。すると彼は、ヘルメットをかぶって強盗した男がバイクで逃げて、その途中にQトラック(家具などを運べる中型トラック)を用意していて、そのトラックにバイク乗せて逃亡すると語ってくれて、それが偶然にも僕の脚本と同じだったんだ」と明かした。

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 何度も脚本の改稿を行った本作の演出について「今作は才能のある俳優たちばかりで、僕の演出がなくても、上手くやれる連中ばかりだった。ただ僕は、事前に俳優たちには僕を驚かせる演技や、失敗した(上手くいかない)演技を見せてほしいと伝えた。僕自身も監督になる前は観客だったわけで、何か僕自身が驚いたことは、観客にも伝わっていくと思っているからでもあるんだ」と答えた。実際に34回も脚本を改稿したそうだ。

 最後にデレク監督は、『ブルーバレンタイン』で主人公がウクレレを弾くこと、今作で顔にタトゥーを施したことは、全てライアンのアイデアだったことを明かした。映画は欠点だらけの人間たちが、現況を変えていこうとするときに、善と悪の判断が容易にできない過程が興味深く描かれている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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