ヒッチコック、自分の生首で妻をドッキリ! サスペンスの神は、ユーモアの天才!
冷蔵庫の中に人間の頭が……! 現在公開中の映画『ヒッチコック』でサスペンスの巨匠アルフレッド・ヒッチコックを演じたアンソニー・ホプキンスと、その妻アルマを演じたヘレン・ミレンによる一瞬ドキリとするユーモアあふれる画像が公開された。
実はこの画像、ヒッチコック自身が生前に特殊メイクを駆使したいたずらで、妻アルマに仕掛けたエピソードを再現したもの。今回、映画『ヒッチコック』のスタッフが、アルマ役のヘレン・ミレンに同じ設定でドッキリを用意したのだ。ヒッチコックのいたずらに慣れていたアルマは、当時もそれほど驚かなかったかもしれないが、アルマを演じたミレンも余裕の表情なのが、かえって笑える。映画の本編には使われていないが、ヒッチコックのユーモアのセンスを伝える貴重なカットだ。
「映画の長さは、人間のぼうこうの我慢と関係させるべき」「映画とは退屈な部分がカットされた人生」など、ヒッチコックが残した名言はどれもユーモアが効いているし、自作には一瞬だが、必ず「出演」していたのも有名。観客にでっぷりしたシルエットを自虐的にさらし、意図的に笑いを取ろうとした節がある。
そんな巨匠のユーモア感覚は、映画『ヒッチコック』にもたっぷり挿入された。本作は映画史に残るサスペンス『サイコ』の撮影舞台裏を描いているが、撮影が始まる前にキャストやスタッフを集めて「結末をもらしません!」と宣誓させるなど、ちょっぴりふざけたようなヒッチコックの言動が笑いを誘う。『サイコ』の先行上映会でも、自らの声で「映画が始まりますと、どなた様も入場できなくなります。通用口や非常口、天窓から忍び込むのは、浅はかなことです」とアナウンス。さらに、増え過ぎた体重に関する妻アルマとのやりとりなど、随所にクスリと笑えるシーンが用意されている。「サスペンスの神」というイメージとのギャップを楽しめるのも、映画『ヒッチコック』の魅力なのだ。(文:斉藤博昭)
映画『ヒッチコック』は4月5日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国公開