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ピアース・ブロスナンが語るオスカー受賞監督とタッグを組んだ理由とは?妻を失った実体験が重なる

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ピアース・ブロスナン
ピアース・ブロスナン

 第5代目ジェームズ・ボンドとして映画『007/ゴールデンアイ』『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』などに出演したピアース・ブロスナンが、新作『愛さえあれば』について語った。

映画『愛さえあれば』場面写真

 同作は、デンマークで暮らすイギリス人フィリップ(ピアース・ブロスナン)は、妻を事故で失ってから孤独な毎日を送っていた。だがある日、息子の結婚式に向かう際に、乳がんを患い、夫に浮気された美容師のイーダ(トリーヌ・ディルホム)と空港で出会う。偶然にもイーダは、フィリップの息子の結婚相手の母親だったことから、彼女に徐々に興味を持ち始めていくという熟年のラブストーリー。監督は、映画『未来を生きる君たちへ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したスサンネ・ビアがメガホンを取っている。

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 妻を失ったフィリップは、最初は憎まれ口をたたく辛辣(しんらつ)な男だった。「僕がフィリップを演じるうえで、辛辣過ぎて観客が引いてしまわないようにスサンネ監督は気を付けてくれていて、脚本も辛辣さを加減して書かれていた。でも、イーダとの最初の空港での出会いは軽い衝突事故だったため、僕はできる限り横柄で辛辣な男になりきっていたと思う。それでも観客は、それまでイーダの心の広い性格を観てきたため、この空港でのシーンを観た後でも、これから二人がどのように変わっていくか、期待せざるを得ない設定になっているんだ」と語った。

 フィリップに感じた共通点は「この映画のフィリップのように、僕も妻カサンドラを卵巣がんで亡くして、同じように耐える時期があった。さらに、シングルファーザーとしても理解することができた。でも妻が亡くなってからしばらくたち、ある程度距離を置くことができるようになったために、自分の身を委ねるような心持ちでこの映画に参加することができた」と打ち明けたピアースは、1991年に11年間連れ添った妻カサンドラと死別し、10年後の2001年に再婚している。そして映画内では、妻が亡くなった設定に関して、個人的に感傷的になり過ぎずに演じることができたと明かした。

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 魅力的なシーンとして、イーダとフィリップが共に過ごす静かな時間が挙げられる。「ほとんどのシーンは脚本に記されていて、パーティーシーン以外は即興も少ないが、イーダとフィリップが静かな時間を過ごすシーンは、撮影の当日の雰囲気によって描くことになったんだ。それは、スサンネ監督が上手く引き出してくれていたと思う。そのうえ僕ら俳優も、静かできれいな環境で撮影していたため、日々マジカルなことが起きていたと思う」と撮影を振り返った。

 最後に、ジェームズ・ボンドの年齢は原作者イアン・フレミングが記した通りに従うべきだと思うが、ダニエル・クレイグが演じたジェームズ・ボンドは素晴らしかったと称賛した。映画はそれぞれ違った状況下で、恋心を失いかけていた中年の二人が、お互いの環境を理解して惹(ひ)かれ合っていく姿が興味深く描かれている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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