少女から大人になる前田敦子を撮影 『リング』中田秀夫監督語る魅力
映画『リング』『仄暗い水の底から』の中田秀夫監督と撮影監督の林淳一郎が、都内で行われた、前田敦子と成宮寛貴の出演作『クロユリ団地』公開記念トークショーに出席し、フィルム撮影などへのこだわりについて語った。
この日は中田監督と林がタッグを組んだ同作の公開を記念して、両者が組んだ『リング』『仄暗い水の底から』の特別上映を開催。この2作について「ここが勝負だな」と取り組んだという中田監督は、劇中で映し出される光景が、恐怖を演出するかのようにどす黒く映ったのは、運よく撮影当日の天気が曇りだったためと明かし、「天が味方してくれた。今だとデジタル処理なんでしょうけど」と振り返る。
その上で「ホラーにはフィルムが合う。デジタルは計算できるが、アナログは計算じゃないところに味が出てくる」とアナログの良さを強調した中田監督。ただしメーカーによるフィルム製造が終了してしまうため、「ホラー映画界のためにもフィルムは残していただきたい。スピルバーグさんがフィルム使うと言い続けている限り残るとたかをくくっていたら、彼も諦めたと聞いて。(フィルムがなくなるまで)あと2年くらいですか……」と厳しい現状を嘆いていた。
一方、最新作『クロユリ団地』について中田監督は、「水そのものは出てないんですが、水の反映を見せている」と『リング』や『仄暗い水の底から』につながる要素があると示唆。また林は、中田監督からの「狂った夕景を作りたい」という要望に応えるため、照明の中村裕樹と共に「『狂った夕景』なのでやりすぎても良いか」と思い切って取り組んだことを明かし、観客の期待をあおっていた。
最後に主演の前田敦子について中田監督は、「アイドル前田敦子じゃなくて、内にある繊細で傷つきやすくて涙もろいもの、20歳の前田敦子にしか演じられない(劇中で演じる)二宮明日香にしてほしい」と伝えたといい、「ちょうど少女から大人の女性に変化していくときに撮影させてもらったと思っている。じっくり観ていただきたい。成宮さんとも良いコンビネーションだと思います」とその魅力を語っていた。
映画『クロユリ団地』は、近隣の人々から「出る」とうわさされる団地に引っ越してきた介護士を目指す主人公・明日香(前田)が、特殊清掃員の笹原(成宮)と共に、団地内で不可解な出来事に巻き込まれていく姿を描く。(取材・文:県田勢)
映画『クロユリ団地』は、5月18日より全国公開