ジュリアン・ムーアが挑戦する、教え子とのラブシーンとは?
映画『エデンより彼方に』『ことの終わり』などでアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた演技派女優ジュリアン・ムーアが、トライベッカ映画祭(Tribeca Film Festival 2013)で、新作『ジ・イングリッシュ・ティーチャー(原題) / The English Teacher』について、共演者マイケル・アンガラノと共に語った。
ジュリアン・ムーア出演映画『めぐりあう時間たち』写真ギャラリー
同作は、ペンシルバニア州キングストンにある高校で英文学を教えるリンダ(ジュリアン・ムーア)は、ある日、偶然に昔の教え子、ジェイソン(マイケル・アンガラノ)と再会する。だが、文才のあったジェイソンは舞台作家を目指しニューヨークで学んでいたが、全く芽が出ずに夢破れて故郷に戻っていた。そんな彼を見かねたリンダは、学校の舞台劇に彼の執筆した脚本を使用する提案を学校に持ちかけたことで、様々な出来事が巻き起こるというドラマ作品。この他に、リリー・コリンズ、グレッグ・キニア、ネイサン・レインらが出演し、監督はテレビドラマ「Weeds ~ママの秘密」のクレイグ・ジスクがメガホンを取っている。
ジュリアンは主人公リンダによく似ているそうだ。「子どもの頃は、リンダのように本を良く読んでいたし、図書館にも通っていた。夏に行われる読者感想文のコンテストにも参加したことがあったわ。それに体育会系ではなかったから、ある意味で読書の延長上にある舞台のクラブ活動もしていたの。もし高校生のときに先生から女優を勧められなかったら、もっとリンダに似た女性だったかもしれないわ。だから、ものすごくリンダに共通点を感じたの」とジュリアンが語る通り、全く違和感のないハマり役に見えた。
教え子ジェイソンと教師リンダのラブシーンについて、ジュリアンは「わたしはこれまで数多くの映画でいろいろなラブシーンに参加してきたから、わたしが最初にマイケルにキスをして、演じやすい環境を作ったわ。だから、年上の女性とのラブシーンでもマイケルは怖がる必要もなかったの。それに、これはハリウッドの典型的なコミカルなラブシーンで、周りにあるいろいろな物が落ちたり、倒されていくため、わたし自身も楽しむことができたわ」と明かした。
この映画では、ジェイソンが執筆した脚本のエンディングが改稿されるが、似たような体験についてマイケルは「ジャッキー・チェン主演映画『ドラゴン・キングダム』に参加したときに、セカンド・ユニットの監督を(世界的な武術指導者)ユエン・ウーピンが行っていて、僕のシーンはそのユニットで1日14時間くらい撮影されていた。映画の僕の役柄は、古代中国に戻って悪役を倒す設定だったが、なぜかユエン・ウーピンは、他の俳優にこの悪役を殺させてしまったんだ(笑)。すると、次の日にロブ・ミンコフ監督がセットにやってきて、悪役を殺すシーンを撮り直すからと言われたことがあったよ!(笑)」と面白いエピソードを語った。
最後にジュリアンは、子どもを持つ女優は時間の自由が利かないため、最近は舞台より映画の方を好んで出演しているそうだ。映画は、教育熱心ではあるが、どこか空回りする主人公のリンダが興味深く描かれ、どこか学生時代の先生を振り返らせてくれるような作品に仕上がっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)