代役・宮沢りえ、心筋梗塞の天海に無言…多忙を極める中、会見に現れる
女優の宮沢りえが、渋谷のBunkamura オーチャードホールで行われた舞台「唐版 滝の白糸」「盲導犬-澁澤龍彦『犬狼都市より』-」合同製作発表会見に出席した。宮沢は、心筋梗塞のために舞台「おのれナポレオン」を降板した女優の天海祐希の代役として急きょ同舞台に出演することが決定しており、多忙を極める中での登場。そのため、退出際には報道陣からは天海へのコメントを求められたが、無言を貫いていた。
天海の代役として出演することがアナウンスされたばかりの宮沢だけあって、この日は多くのマスコミが来場。主催者側も「質問事項は今回の舞台のことだけ」と釘を刺していたが、ところどころで「宮沢さんは英断でしたね」といった声が飛び出す一幕もあり、これに対して演出の蜷川幸雄は「来たよ、来たよ」とちゃかしてみせた。その後も、退出しようとする宮沢に対して「天海さんにコメントを!」といった呼びかけもなされたが、宮沢はそのことに対するコメントを出すことはなかった。
今回、宮沢が出演する舞台「盲導犬」は1970年代に蜷川が主宰していた劇団櫻社のため、唐十郎が書き下ろした戯曲を、蜷川幸雄が初めて手掛けたことでも知られる作品。昨年の舞台「下谷万年町物語」で、蜷川×唐タッグの作品を体験していた宮沢は「この二人の作品に出るのは2回目。前回の『下谷万年町物語』に出演して、それでとりこになりました」と笑顔を見せる。
一方の蜷川も「『下谷万年町物語』をやってみて、やっぱり唐の芝居はいいなと思って。『盲導犬』は長い間、もう一度やりたいと思っていた。1回目は成功したけど、2回目は失敗だった。(出演者の)木村拓哉君はよかったんだけど、ほかのキャスティングが失敗だった。でもそれ以上に俺の演出が最悪だった。だから俺が死ぬ前にすごい作品を作って再演したいと思っていた」とリベンジを誓う。
さらに宮沢の魅力について「宮沢さんはかっこいいですよ。美しいだけでなく、戯曲を理解する力がある。役に乗り移るときに、独特のスピード感と色気とエネルギーがある。今、最も輝いている女優さんだね。時々、夜明けの電話があるけど、それでも一緒にやりたい魅力があるよ」と絶賛していた。(取材・文:壬生智裕)
舞台「盲導犬-澁澤龍彦『犬狼都市より』-」は7月6日~28日、「唐版 滝の白糸」は10月8日~29日まで渋谷のBunkamura シアターコクーンにて上演予定(大阪公演もあり)