3Dが嫌いだったからこそ作れた3D映画!『スター・トレック』J・J・エイブラムス監督が明かす本音
映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』で自身初の3D映画に挑戦したJ・J・エイブラムス監督が、「実は3D映画は好きじゃないんだ」と本音を激白した。だが、スタジオ側が本作の製作にあたって3D作品であることを条件にしたため、やむなく3Dにするしかなく、そこで「3Dが嫌いな人でも楽しめる3D作品」という発想が生まれたのだという。
2009年のシリーズ第1作の映画『スター・トレック』の監督に就任した当時から、「僕は別に『スター・トレック』が好きなわけじゃない」と公言していたJ・J・エイブラムス監督。「だけど、そのおかげで『スター・トレック』ファンではなく、一人の映画ファンとして作品にアプローチすることができた」と明かす通り、上質のエンターテインメント作品として完成した同作は『スター・トレック』ファン以外の心もつかみ、世界中で大ヒットを記録した。
4年ぶりの新作となる本作でも「ファンでなくても楽しめる『スター・トレック』を作る」というエイブラムス監督のアプローチは変わらなかったが、今回はそこに3Dという問題が立ちはだかった。「3D作品は頭痛がするし、眼鏡をしなきゃいけないしで、本当に嫌いだったよ。しかもスタジオはクオリティーを求めて3Dにするというのではなく、そっちの方が興行的に有利だからという理由で3D作品にすることを要求してきたんだ」と当時を振り返る。
「だから最初から僕は、すごくシニカルな態度で作品に向かっていたといってもいいと思う」というエイブラムス監督だったが、そこで生まれたのは「3Dが嫌いな人でも楽しめる3D作品」という発想。「専門家と打ち合わせをしているうちに、今の3D技術はすごく進歩していて、3D作品特有の問題をほぼ解決できることがわかった。『3Dカメラで撮影しないと良質の3D映画にはならない』というのはもう昔の話で、今は2Dで撮影したものを3D映像に変換したものの方が、3Dカメラを使った作品よりも優れていることもあるんだ。そして、やっぱり3Dでないと出せないスケール感は魅力的だった」というエイブラムス監督は、そこでようやく本作を3D作品にすることに納得したのだという。
そのため、撮影は2Dで行ったにもかかわらず、本作の3D映像は3Dカメラを用いたときとほぼ遜色ない仕上がりになっている。それでも、エイブラムス監督自身は今後、2D映画にこだわるという意向を示している。それは、3D映画よりも2D映画の方が普遍的であり、より多くの人により長く観てもらうことができる信念に則った決断だ。
その理由について「いい3D映画というのは3Dになったとき、画面全体にフォーカスが合っているものをいう。けれど、そうした映像は2Dにしたとき、とんでもなく平坦なものになってしまうんだ」と一例を挙げて説明したエイブラムス監督は、そうしたことも含め、本作は3Dでも2Dでも楽しめる作品だと強調。3Dが好きではない人でも楽しめる3D作品になったと豪語していた。(編集部・福田麗)
映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』は8月23日より全国公開