パルムドールは満場一致で決定!河瀬直美監督がカンヌの審査を振り返る
第66回カンヌ国際映画祭
第66回カンヌ国際映画祭で、日本人監督として初めて審査員を務めた河瀬直美が取材に応じ、審査の様子を語った。パルムドール以下受賞作を決定した日は、朝から携帯など、全ての連絡ツールを結果発表後まで預けさせられ、「審査会場もどこか教えてもらっていなかったので、ドライバーに行き先も告げられずに連れていかれました」と徹底した管理下で審査がなされたという。
最高賞のパルムドールを受賞したのは、フランス映画『ブルー・イズ・ザ・ウォームスト・カラー(英題) / Blue is the Warmest Colour』。河瀬監督は「(審査委員長のスティーヴン・)スピルバーグから、投票の前にパルムドールの意義について、技術がどうとかではなく、自分の心に一番残った感動作を選びましょうという話がありました」と審査を振り返る。
その後、全員がパルムドールにふさわしいと思った作品を紙に書いて提出。国籍も映画との関わり方も多種多様な審査員たちだったが、なんと主要3部門は全員一致という結果となった。河瀬監督は「もう今思い出しても泣けてくる」と感動的な一場面だったことを明かした。
今年は、是枝裕和監督の『そして父になる』が日本映画としては26年ぶりに審査員賞を受賞するという快挙もあった。審査員賞については「主要3部門ではなくても、審査員の心を揺さぶった作品」として選出されたとのこと。河瀬監督は「子どもを取り違えられてしまった家族が、特に父親がどのようにそれを受け止めていくのかを描くというアイデアや、作品の構築の仕方がとても優れていて、是枝さんが映画監督として素晴らしい作品を作った結果だったと思います」とたたえた。
映画祭初日の記者会見では緊張した表情を浮かべていた審査員たちだったが、最終日には家族のような絆が生まれていたそう。また河瀬監督が「よく食べてよく笑って、大阪のおばちゃんみたいな人!」と話すハリウッド女優ニコール・キッドマンとは子育ての話で盛り上がり、今ではすっかりママ友のようだ。カンヌでの約10日間について河瀬監督は「一流の映画人たちと素晴らしい映画を通して語り合えたことは、忘れられない経験になりました」と笑顔を浮かべていた。(編集部・森田真帆)