非難ごうごう!? キーラ・ナイトレイの大げさすぎるアゴ演技の真相とは?
鬼才デヴィッド・クローネンバーグの意欲作『危険なメソッド』でのヒロイン、キーラ・ナイトレイの熱演は好評の一方、「やり過ぎ」という批判の声も上がったが、その演出の真意が明らかになった。
心理学者ユングとフロイト、ユングの患者となった若い女性の葛藤を描いた『危険なメソッド』は昨年10月に日本で劇場公開され、先日リリースされたDVDも好評を博している。本作で心を病んだ女性患者ザビーナを演じたナイトレイは、舞台となる20世紀初頭に「ヒステリー」と呼ばれた神経症にさいなまれるヒロインを演じた。
本作で描かれるその症状は衝撃的で、ユングと初めて対面したザビーナは極度の緊張状態に陥り、体をけいれんさせ、アゴをグイーーーンと突き出したすさまじい表情を見せる。横顔のショットではあまりのアゴの突き出しに、演技ではなくCGなのではと疑いたくなるほどだ。この壮絶な演技が「やり過ぎ」との批判を浴びた点である。
これについてクローネンバーグ監督は、このような患者の苦しみをリサーチし、正確に描写した結果であると語っている。「ヒステリー状態になると激しい感情が現われ、体がマヒしたり、顔がゆがんだりする」とは彼の調査結果だが、実際ユング自身が残したザビーナの治療記録のメモにも、「顔にチック症が見られ、いびつになっていた」と記されているとのこと。さらにクローネンバーグは「これが誇張された表現だと考えるなら、この症状について何も知らない証拠だ」ときっぱり言い切る。
「自分を堕落した人間と思い込んでいる、その苦しみを顔の動きで表現したつもりよ」とはナイトレイの証言。本DVDには、この彼女のコメントを含むインタビュー集や、撮影の舞台裏映像も併せて収録されている。(猿園楽)
映画『危険なメソッド』はDVD発売中(税込み4,935円)発売元:東映ビデオ株式会社