『ファミリー・ツリー』でオスカーを受賞した脚本家コンビが監督として描いた新作とは?
フォックス・サーチライト新作コメディー映画『ザ・ウェイ、ウェイ・バック(原題) / The Way, Way Back』について、共同監督のナット・ファクソン、ジム・ラッシュが語った。
同作は、夏休みに母親パム(トニ・コレット)と彼女のボーイフレンド、トレント(スティーヴ・カレル)と共に、叔母ベティの家を訪れた少年ダンカン(リアム・ジェームズ)が、プールの係員を務めるオーウェンと出会い、さらに叔母の娘スサンナとも親交を深めながら成長していく過程を描いたコメディー作品。映画『ファミリー・ツリー』の脚本家ナット・ファクソンとジム・ラッシュが共同監督と脚本を担当した。
今作はジム・ラッシュの半生に近い設定だそうだ。「子どもの頃、母と義理の父と共に住んでいたノースカロライナ州からミシガン州のシャーロットまでステーションワゴンで、毎年湖を訪れていた。当時は、この映画のようにウォーターパークに行くのが好きで、そんな子どもの頃に出会った人々の何人かが、今作のキャラクターに生かされている」。
素晴らしいキャスト陣の中で、リアム・ジェームズのキャスティングは「主役ダンカンに関しては、それほど大きなキャスティングを行わなかった。リアムはバンクーバーからL.A.のオーディションに来て、僕らはすぐにリアムが、不安定な関係の親のはざまにいる内向的な少年だが自分の世界を持っているダンカンの役に適していると思った。彼は無理のない、自然な流れで演じていた」とナットがリアムを評価した。
スティーヴ・カレルが嫌みな役に挑戦した。「このトレント役に、僕らは人から好かれるタイプの俳優で、普段演じている役とは違った俳優をキャストした。それは、(ダンカンにとって嫌みな)トレントとなぜ母親が付き合い、なぜ他の大人たちがトレントとパーティーを行うかを考えた時に、単に嫌みなタイプの俳優をキャストすると、そこに二面性は生まれない。そこで人から好かれるスティーヴをキャストし、受動攻撃性を持つ役柄を演じさせ、あえて役柄に深みを持たせた」とナットが語った。
映画は、複雑な思春期に出会った人々によって、人生に変化を迎える少年を繊細に描いている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)