和泉元彌、子どものための「狂言教室」を開校!母・節子に支えられた少年時代を振り返る
2007年4月より「心のエリートを創る」をキャッチフレーズに設立された東宝芸能の子ども向けスクール「TOHO Jr.(東宝ジュニア)」が開催する『夏期集中講座 東宝ジュニアサマースクール2013』で、「和泉元彌の楽しい狂言教室~狂言に触れてみよう~」の講師を務める狂言師・和泉元彌が、スクールへの抱負、そして自身の子ども時代を振り返った。
サマースクールでは日本芸能の原点といわれる狂言の基本である「小揺」を子どもたちに教える和泉は、「この教室には昨年も講師として参加させていただいたのですが、1週間毎日行うカリキュラムの中で子どもたちが成長する様子を見るのはとてもうれしい。子どもたちの吸収力はすごいものがあります」と日本文化の未来を担う子どもたちへの教育に目を輝かせた。
自身の子ども時代を振り返ると、父である和泉流十九世宗家・和泉元秀との稽古を思い出すという。当時の稽古は、父と子どもたちだけで、周囲の人間には絶対に公開しない非公開の稽古だった。だが、そんな部外者厳禁の稽古にたった一人立ち合いを許されたのは、以前ワイドショーを騒がせたこともあった母の節子だったそう。和泉は「当時はいろいろ言われましたが、そんな母じゃなかったんですよ」と笑顔を浮かべた。
「父はとても厳しい師匠でした。子どもはけじめをつけづらい。だからこそ子どもが向かってくる気持ちを作らなければ、緊張させなければいけないという気持ちが父にはあったそうです」と和泉が語る通り、手や扇が容赦なく飛び、声を荒げられることは当たり前の稽古だった。「母は泣きながら稽古を終えた自分を膝に抱っこして、優しく背中をさすって、あなたは頑張れる。頑張れるからこそ、この家に生まれたのよと繰り返し言ってくれた。僕にとってとても心強い味方でした」と話した。
サマースクールにやって来る子どもたちには「1回習ったから『狂言やりました』ではなく、きちんと形にして持って帰ってもらいたい」と話す和泉。この日は、赤坂にある豊川稲荷文化会館で毎週水曜日に行っている「和泉流宗家による狂言教室」を報道陣に特別公開し、「口伝」の様子を披露した。姿勢を正しく凛(りん)とした態度で狂言を教える和泉の姿からは、子どものみならず、親たちも大切な何かを学べるのではないだろうか。(編集部・森田真帆)
「夏期集中講座 東宝ジュニアサマースクール2013」は7月29日~8月4日まで開催(詳しくは公式サイトにて)
第135回和泉会は7月23日水道橋・宝生能楽堂にて19:00より開演(18:30開場)