映画『選挙』想田和弘監督、改憲案に民主主義の否定と警鐘!
第23回参議院選挙の投開票日から一夜明けた22日、渋谷のシアター・イメージフォーラムで映画『選挙2』のティーチインが行われ、想田和弘監督が参院選の結果に厳しい表情を見せた。この日は、同シリーズで想田監督が追い続け、かつて自民党公認候補として議員活動に従事したものの、任期満了をもって党と決別、2011年に無所属で再出馬を果たした山さんこと山内和彦氏も来場した。
今月21日の参議院選挙では、自民党が65議席を獲得して圧勝。この結果について想田監督は「予想した結果ではある」としながら「実際に投票率の低さを目の当たりにすると非常にショック」と厳しい表情を見せた。
そんな日本の現状について「無関心と無気力の中でずるずると進行するファシズム」と痛烈に批判する想田監督は、自民党の改憲案に「一言で言えば、民主主義を否定する内容」と警鐘を鳴らす。その上で、自衛隊を国防軍と明記したことや、戦争・災害時に政府に権限を集中させる緊急事態条項の新設などを例に挙げ、「改憲案は自民党のホームページで読めるんですが、もし読んだら怖くて自民党に投票できないと思う。僕自身は民主主義を終了させたくない。その戦いはこれから始まるのかなと思う」と決意を語った。
そんな会場のピリッとした雰囲気を察したのが山内氏。「でも大丈夫ですよ。自民党は日和りますから。もし(次回参院選が行われるまでの)3年間で、悪いことをすれば政権を失います」と切り出すと、「改憲と言っていても、結局やる振りをするだけかもしれません。今のままの方がみんな安穏と生活できますからね」と満面の笑みで付け加え、観客の笑いを誘った。
近頃はツイッターなどでの歯に衣着せぬ言動でも、注目を集める想田監督。この日は、そのつぶやきをきっかけに来場したという観客も多数おり、「さんざんほえたかいがあった」と想田監督も笑顔。山内氏が「ネット右翼にも叩かれながら、ちゃんと応対していて立派だと思いますよ」と感心した様子を見せると、「ネトウヨの人の返信には共通点があって。その共通点が社会の空気を映し出して面白いんですよ」と返す想田監督。そこで山内氏が「次はネトウヨの人たちを(ドキュメンタリー映画の題材として)観察したらどう?」と提案。想田監督もまんざらではない様子だった。(取材・文:壬生智裕)
映画『選挙2』は渋谷のシアター・イメージフォーラムほかにて全国公開中