しずちゃん恩師・ボクシングコーチ梅津正彦さん死去 享年44歳
お笑いコンビ・南海キャンディーズのしずちゃんこと山崎静代選手の専属コーチとして知られる、ボクシングコーチでアクションディレクターの梅津正彦さんが、23日に44歳の若さで死去した。「一般社団法人 日本ボクシング連盟」によると同日、都内病院で息を引き取ったという。梅津さんはがんのため闘病生活を送っていた。
ボクシングでソウルオリンピックを目指した梅津さんは、ケガによる引退後、映画監督を志して松竹シナリオ研究所に入所。助監督として経験を積んだ後、自らのボクシング経験を生かして、映画『Kids Return キッズ・リターン』や『アウトレイジ』など北野武作品でボクシング指導を務め、ボクシングコーチ、アクションディレクターとして活躍した。
映画『あしたのジョー』では、矢吹丈役の山下智久と力石徹役の伊勢谷友介に、徹底的なボクシング指導を敢行。二人の完璧な肉体改造をサポートしたことでも知られている。中でも伊勢谷は、梅津さんの闘病生活を支えるため、自身が運営する「元気玉プロジェクト」において梅津さんの治療費をしずちゃんと共に呼び掛けるほど親交を深め、今年4月に後楽園ホールで行われたアマチュアボクシング大会「女子ボクシング チャレンジマッチ」で「梅津さんがいなければ、力石徹はできなかった」と男泣きで感謝を述べた。
また、しずちゃんの専属ボクシングコーチとして知られる梅津さんだが、元K-1ファイターのTATSUJIや大渡博之など、実は数多くの選手たちにボクシング指導をしてきたことでも知られている。
しずちゃんと二人三脚で世界を目指す最中、梅津さんは全日本選手権の3か月前にあたる2011年11月に病気が発覚。2012年1月27日には、太ももの腫瘍に悪性の疑いがあると宣告を受け、1週間後の検査結果で、メラノーマという皮膚がんの一種であることが発覚して以降、懸命な闘病生活を送ってきた梅津さんは、今月7日に行われた講演会には車椅子で登場し、最後まで闘う姿を見せ続けた。
チャレンジマッチで初めて後楽園ホールのリングに立ち、梅津さんに勝利をプレゼントしたしずちゃん。「恩返し」を支えたのは、大会を実現させるために奔走した、伊勢谷や大渡らかつて梅津さんが指導した男たちの思いだった。時に厳しく、時に温かく選手たちを育ててきた梅津さん。ボクシングを通して、実に多くの人々に愛された人物だった。なお通夜は28日に、葬儀・告別式は29日に東京・芝大門の増上寺にて執り行われる。(編集部・森田真帆)