劇場にナースも待機!“ギミックの帝王”ウィリアム・キャッスル伝説の仕掛けに観客大絶叫!
石川県金沢市で開催中の「カナザワ映画祭 2013」で15日、かつて“ギミックの帝王”と呼ばれたウィリアム・キャッスルによる伝説の上映形式が再現され、会場内が観客の絶叫に包まれた。
キャッスルは1950~1960年代にアメリカを席巻した伝説の映画監督でありプロデューサー。彼が仕掛けた数々のギミックは現在も語り草となっており、ロバート・ゼメキスやジョン・ウォーターズ、ジョー・ダンテといった映画監督たちもキャッスルからの絶大なる影響を公言している。
そのアイデアは、観客に死亡保険をかけたり、客席にガイコツを飛ばしたり、恐怖で退場した観客に入場料を返金(その代わり臆病者コーナーでさらされる)する……といった奇ばつなものばかりで、当時、全米のちびっ子たちから絶大なる支持を集めた。
「観客参加型映画」がテーマの今年のカナザワ映画祭では、そんなキャッスルのギミック上映を再現。映画『ティングラー/背すじに潜む恐怖』(1959・日本未公開)の上映では、伝説の「パーセプトウ上映方式」が執り行われることとなった。これは映画のショックシーンとともに、座席に微電流が流れ、背筋が震えるというシステムのこと。さらに同作の全米公開時には、まさかの場合にそなえて映画館に看護師の女性が待機していたことから、この日の会場にもセクシーなナースが常駐。上映中、恐怖のあまり絶叫しながら劇場を飛び出す観客の姿も(?)あり、劇場はまさに遊園地の様相を呈していた。
本作に登場するティングラーという虫は、人間の悲鳴によって動きが抑えられるという設定となっており、虫が迫りくるシーンでは、スクリーンに「絶叫しましょう」とメッセージが映し出される。観客はその合図で、一斉にスクリーンに向かって絶叫。叫び声で虫と戦ったことで一体感に包まれた会場は、上映後大きな拍手に包まれ、伝説のギミック上映を追体験した観客全員が、満ち足りた表情を見せていた。(取材・文:壬生智裕)
「カナザワ映画祭 2013」は9月16日まで金沢都ホテル(旧ロキシー劇場)にて開催中