東京オリンピックを予見した男・大友克洋、新作は7年後? 製作に意気込み
漫画家・アニメーション監督の大友克洋が20日、幕張メッセで開催中の「東京ゲームショウ2013」で行われた「『ショート・ピース』プロジェクト『月極蘭子のいちばん長い日』スペシャルステージ」に出席し、2020年の東京オリンピック開催に向け、新作製作の意気込みを語った。
先日決定したばかりの2020年の東京オリンピック開催を、代表作『AKIRA』の中で予見していたことでも話題になった大友。共に登壇したバンダイナムコゲームスの浅沼誠エグゼクティブプロデューサーが「東京オリンピックを予見していた男とですね、2020年にまた新作を一緒に作れればなと思っています」と漏らすと、大友も「オリンピックまでには1本作っとかないといけないなと思います」と満更でもなさそうな様子だった。
『SHORT PEACE』は大友を中心とした4人のクリエイターが、「日本」をテーマに競作したオムニバス・ムービー。16世紀末の日本を舞台にした『GAMBO』、18世紀を舞台にした『九十九』『火要鎮』、近未来を舞台にした『武器よさらば』の4本のアニメーション作品が収められている。大友は『火要鎮』で脚本・監督を務めたほか、『武器よさらば』では原作者としてクレジットされている。
『火要鎮』は「着物の貼り込み(別素材をデジタル処理の過程で組み合わせること)などが困難で、アニメ化が難しい」と言われる江戸時代を「あえてアニメでやりたい」という大友自身の要望が反映された作品。「昔描いていた漫画はラスト、火事が起こるところで終わる。その火事のシーンをアニメでやろうと思って作ったもの。漫画の続きをやっている」と振り返ると、「火消しのシーンなどはCGを使っている。CGとアニメが同じ画面の中で違和感がないよう注意して作った。CGがCGに見えないようにしたかった」とこだわりの部分を明かした。
同イベントでは「ショート・ピース」プロジェクト5本目の作品であるプレイステーション3用ゲーム「月極蘭子のいちばん長い日」の詳細も発表。大友は「現代を舞台にした作品だけなかったけど、ゲームで現代が表現され、これで失われたピースが埋まった気分だ」とコメントしていた。(取材・文 名鹿祥史)
Blu-ray&DVD『SHORT PEACE』は2014年1月16日発売 税込み価格:6,090円(Blu-ray)、5,040円(DVD)