福山雅治&是枝監督、オープニングに登場!大島渚監督特集を紹介
第61回サンセバスチャン国際映画祭
スペインのバスク地方で行われる第61回サンセバスチャン国際映画祭が現地時間20日に開幕した。オープニングセレモニーには映画『そして父になる』が招待上映される是枝裕和監督が登壇し、今年の映画祭の目玉である大島渚監督特集の紹介をした。また、レッドカーペットイベントには同作主演の福山雅治も登場した。
同特集は同映画祭と国際交流基金などの共催で行われ、松竹新人スターを紹介する短編『明日の太陽』(1959)やドキュメンタリー「日本映画の百年」(1995)など27作品を上映する。大島監督同様、ドキュメンタリーを数多く手掛けてきた是枝監督は、冒頭で「僕自身はよく小津(安二郎)の孫だと言われますが、決して大島の子どもだとは言われません。確かに、作品のスタイルもテーマも、撮影現場での在り方も、大島監督と僕の間には大きな違いがあるでしょう」と説明。
「しかし、彼が繰り返し語り、また描いてきた日本人の問題点。例えば戦争を哀れみとともに描き、涙を流すことで自らの加害責任を忘れてしまうような甘えた態度。そのような『被害者意識』への厳しい告発は、僕のモノ作りとしての大きな指針にさえなっています。大島監督は生涯『怒り』の作家であり続けた人です。彼の正しい怒りに、ぜひこの機会に触れてみてください」と満席の観客に力強く訴えた。
さらに会場では、今回現地入りできなかった、大島監督の夫人で女優の小山明子のビデオメッセージも上映。小山は、大島監督が眠る鎌倉・建長寺の墓石をバックに「大島は今年の1月15日に亡くなりましたが、今回、特集上映が行われると知ったらきっと喜んだと思います。たくさんの方に見ていただき、そして上映が成功するよう、わたしからもお願いします」と語りかけ、会場から温かい拍手が沸き起こっていた。(取材・文:中山治美)
第61回サンセバスチャン国際映画祭は現地時間9月28日まで開催
映画『そして父になる』は9月28日より新宿ピカデリー他全国公開 24日~27日に全国先行公開