月面に立った伝説の宇宙飛行士も絶賛!全米を席巻『ゼロ・グラビティ』撮影秘話
現在全米で大ヒットを記録している、サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニー共演のSFサスペンス映画『ゼロ・グラビティ』に、かつてアポロ11号の乗員として月面を歩いた元NASA宇宙飛行士のバズ・オルドリン(83)が「宇宙飛行士の目で見ても非常に素晴らしい」とそのリアリティーにお墨付きを出し、ますます話題が沸騰している。
昨年公開された日本映画『宇宙兄弟』や、大ヒット作『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』などに友情出演しているバズは、実は少し気難しく非社交的な人物として知られており、これまで表立って映画をバックアップすることはなかった。そんな彼が、アメリカの映画業界誌The Hollywood Reporterで、『ゼロ・グラビティ』の出来を絶賛。中でも、本作における無重力状態の描写がいかに素晴らしいかを称えた。
元宇宙飛行士からも絶賛されるその無重力シーンは、どのように撮影されたのであろうか? 実際の事故に基づいた1995年のSF映画『アポロ13』では、無重力状態を再現するため、乗員の多くが吐くことで悪名高い、「嘔吐彗星(すいせい)」と称されたNASAの訓練用航空機が使用されている。その名の通り、現場は修羅場だったようだが、18年後に公開された『ゼロ・グラビティ』では、「嘔吐彗星(すいせい)」ではなく著しく発達した映像技術を駆使。俳優たちの、顔をのぞく部分にCG処理を施す手法がとられた。
ただ、CGを使用というと簡単な撮影に聞こえるが、実際は全くの逆。サンドラは、映画のために6か月にわたる体力づくりを行い、撮影中は何本ものワイヤーにつるされた状態になるか、人がやっと入れるくらいの「ライトボックス」という、照明を取り付けた箱の中で1日中宇宙服とヘルメットに身を包み、架空の爆発や宇宙の情景に泣いたり笑ったりするという、大変な状況を強いられたのである。今も昔も変わらない苦労を伴った本作だが、それが実ったのか、ハリウッド界隈では早くもアカデミー賞再ノミネートは確実とささやかれている。(ロス取材・文:明美・トスト / Akemi Tosto)