レイフ・ファインズが主演兼監督を務めた文豪ディケンズと愛人の関係を描いた映画とは?
第51回ニューヨーク映画祭(N.Y.F.F'51)で新作『ジ・インヴィジブル・ウーマン(原題) / The Invisible Woman』について、主演兼監督のレイフ・ファインズと女優ジョアンナ・スキャンランが語った。
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同作は、文豪チャールズ・ディケンズ(レイフ)と“ネリー”の愛称を持つ女優エレン・ターナン(フェリシティ・ジョーンズ)の13年にわたる愛人関係を描いたもの。作家クレア・トマリンの同名原作をレイフ・ファインズが映画化した。ジョアンナは、ディケンズの妻キャサリンを演じている。
ディケンズの愛人関係を描いたことについて「僕はディケンズの小説や映画にはほとんど無知で、学校でも学ばずにいた。だが、アビ・モーガンが脚色した初稿を渡され、そこに描かれていたネリーの転機(ディケンズとの出会いや彼との関係)に感動した。もっともその初稿は、既婚者のネリーが、ディケンズとの愛人関係を振り返る設定で、最終稿と変わっていない。僕が興味を持ったのは、歴史上うやむやに終わったこの関係を胸の内に秘めていたネリーであって、彼女によってディケンズ作品への興味も目覚めた」と語った。その後ディケンズ作品を数作読んだそうだ。
主演兼監督も務めたレイフは「監督することを何度か考えた。映画『英雄の証明』でメガホンを取って評価され、再び脚本を渡され、主演兼監督の依頼をされたが、またできるとは思っていなかった。だが、僕が(脚本家のクレジットはないが)アビ・モーガンの脚色を手伝っていて、僕が脚本の全ての役柄の台詞を大声でリハーサルしていたことで、自分自身でディケンズ役を作り上げていった。そして監督を譲りたくなくなって、監督しながら主演も務めることになったんだ」と経緯を語った。
妻キャサリンと愛人ネリーが会うシーンについて、ジョアンナは「人が人を愛し、偶然にも同じ人を他の人もまた愛する場合は、妻であろうと愛人であろうと、不可解な居場所に居ることには変わりない。そんな事実として自然に起こってしまったのが、ネリーに贈られるはずの宝石が妻に贈られ、その宝石を妻がネリーに渡すシーンなの。もちろん、妻のキャサリンはネリーに対して疑心暗鬼ではあるけれど、彼女がどんな人物なのかも興味があったと思う」とキャサリンの立場を理解して、繊細に演じている。
映画は、文豪の愛人関係をひも解き、彼女の存在が作品にどれほど影響を及ぼしたのか知りたくなるような作品に仕上がっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)