園子温監督、原点となった路上パフォーマンス集団「東京ガガガ」を語る
映画『冷たい熱帯魚』などの園子温監督が19日、原宿で行われたイベント「園子温祭り」に出席し、園監督の原点といわれる路上パフォーマンス集団「東京ガガガ」の主要メンバーと共に、同集団での思い出や自らの作品について赤裸々なトークを繰り広げた。なお本イベントには、園監督が「芸人の師匠」と呼ぶ水道橋博士も飛び入りで参加した。
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1990年代前半、横断幕を掲げて「ガガガ」と叫びながら、渋谷や新宿の街を練り歩いていた路上パフォーマンス集団「東京ガガガ」。その主宰者だった園監督は「最初は10~15人ぐらいで、渋谷のスクランブル交差点を占拠しようって軽い気持ちで始めたんだけど、だんだん大変なことになっていった」と活動を振り返る。
パフォーマンスについては「決して意味があることではなく、無意味、無思想、無宗教がキーワード。それが大事」と説明し、「『ガガガ』は快楽のマグマみたいなもので、受け皿を求めていた若者に合致したのでは」と分析。そして「今だったら、意味のない意味を見つけ出すことができるかもしれない」と20年たった現在の心境を語った。
トーク中、何度も「もう映画監督は飽きた」と発言した園監督だったが、現在公開中の映画『地獄でなぜ悪い』は第38回トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門で観客賞を受賞するなど世界的な評価を受け、来年には新作『TOKYO TRIBE』の公開も控えている。園監督は「『TOKYO TRIBE』は現在編集中なんだけど、出演者の半分ぐらいが素人。『東京ガガガ』でできなかったことを全部やった」と期待させる発言で、来場したファンを沸かせた。
また、園監督は魅力的な女優を発掘する手腕も高く評価されているが、「僕が演出に目覚めるきっかけになったのは『紀子の食卓』。(同作に出演した)吉高由里子の存在は僕の人生を変えた」と語り、「存在感があり、とても面白い女優だと思ったんだけど、とにかく最初は演技がド下手で……。当時無名だった吉高を選んだのは僕だったから、どうやったらうまく見せることができるかと必死だった。でもそこで役者に芝居をつけることの面白さを知りました」と裏話を明かした。さらには『愛のむきだし』の満島ひかりや、『ヒミズ』の二階堂ふみのキャスティング秘話も明かすなど、会場は大いに盛り上がった。(取材・文:磯部正和)