『ニュー・シネマ・パラダイス』のトルナトーレ監督、新作を引っ提げ来日!
第26回東京国際映画祭
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』で知られるジュゼッペ・トルナトーレ監督が22日、最新作『鑑定士と顔のない依頼人』を引っ提げ来日し、開催中の第26回東京国際映画祭で舞台あいさつを行った。
スーツに身を包んだトルナトーレ監督は、イタリアの紳士あるいはマエストロといった雰囲気を漂わせて登壇。今朝、日本に到着したばかりだというが、「時間があったので“おもてなし”という言葉を勉強しました」とリップサービスで場内を笑いに包んだ。
『英国王のスピーチ』のジェフリー・ラッシュが主演を務める本作は、監督が初めからラッシュを念頭に脚本を執筆。ジェフリー本人に送ると1週間ほどで返事が来たといい、「簡単でうれしい出会いでした」と作品の始まりを回顧した。さらに、アテ書きした監督の気持ちに応え、まさにハマり役の好演を見せているラッシュについて監督は「いつまでも仕事を一緒にしたくなる、真面目で遊び心のある役者」と絶賛していた。
また、大きな謎が仕掛けられた本作について監督は、「わたし自身はポジティブな終わり方だと思っている。愛を信じる人たちには勝利だし、愛を信じない人には暗いエンディングに思えるのでは」と語り、「偽りの中にも真実がある。愛は愛でもあって、偽りでもある」といった哲学的な物言いでコメント。さまざまな「愛」の形を描いてきた監督らしい含蓄のある語り口で、集まった観客たちを魅了し、最後は笑顔で手を振り劇場を後にした。
本作は、常に手袋を着用し、レストランでも自分専用の食器でしか食事をしない気難しい天才鑑定士が、姿を見せない女性から謎めいた依頼を受け翻弄(ほんろう)されていくさまを描いたミステリー。トルナトーレ監督と『ニュー・シネマ・パラダイス』でもコンビを組んだエンニオ・モリコーネが音楽を手掛けている。(取材・文:長谷川亮)
第26回東京国際映画祭は10月25日まで六本木ヒルズをメイン会場に開催中
映画『鑑定士と顔のない依頼人』は12月13日より全国順次公開