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巨匠アンゲロプロスの遺作上映 監督令嬢が涙のメッセージ

第26回東京国際映画祭

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涙ぐみながら詩を読み上げた監督令嬢アンナ・アンゲロプロス
涙ぐみながら詩を読み上げた監督令嬢アンナ・アンゲロプロス

 ギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス監督の遺作となった、第26回東京国際映画祭特別招待作品『エレニの帰郷』の上映が、21日に六本木で行われた。舞台あいさつには監督夫人でプロデューサーのフィービー・エコノモプロス、また監督令嬢でプロダクションコーディネィターのアンナ・アンゲロプロスが登壇し、故人について語った。

 世界的巨匠の遺作とあって、会場は満席。中にはアンゲロプロス監督に影響を受けた映画監督や俳優の姿も見られた。その様子に監督夫人のフィービーは、「テオがここにいる気がします」と感慨深げに語り「日本の方々をとても愛していたのできっとこの会場にいることでしょう。主人と共にこの映画を楽しんでください」と呼び掛ける。

 その言葉にアンナは、思わず涙ぐみながら「わたしは、この映画を観てとても感動しました。皆さんも感動していただければ……」と感無量な様子。そしてアンゲロプロス監督がしたためたという「何ごとも恐れることはない。終わりからまた何かが始まる。終わりはない……。そしてわたしは又戻ってくる(概略)」という、メッセージともとれる詩の一部を読み上げた。

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 アンゲロプロス監督は1975年に映画『旅芸人の記録』を発表、ギリシャ史、西欧史を巧みに取り入れたドラマ作り、長回しにセリフや音楽を控える独特の手法で構築された世界観は、世界中の評論家、映画ファンに衝撃を与えた。その後も『アレクサンダー大王』『永遠と一日』など傑作を次々と発表。1995年のハーヴェイ・カイテル主演作『ユリシーズの瞳』は、カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した。2012年1月、新作映画『ジ・アザー・シー(英題) / The Other Sea』を撮影中にバイクにひかれ死去。76歳だった。

 遺作となった『エレニの帰郷』は、2004年の『エレニの旅』に続く3部作の2作目。ギリシャにルーツを持つアメリカ映画監督が、彼と彼の両親についての映画を制作するさまを描く。ウィレム・デフォーが映画監督役を務めるほか、ブルーノ・ガンツミシェル・ピッコリイレーヌ・ジャコブらが出演。この日は全アンゲロプロス作品の日本語字幕を担当した池澤夏樹氏も出席し「もう新作はない。心にとどめて観てください」と観客にメッセージを送っていた。(福住佐知子)

映画『エレニの帰郷』は2014年1月25日より新宿バルト9ほかにて全国公開

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