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ベルリン国際映画祭で女優賞を受賞した話題作『グロリア』とは?

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セバスチャン・レリオ監督とパウリーナ・ガルシア
セバスチャン・レリオ監督とパウリーナ・ガルシア

 第51回ニューヨーク映画祭(N.Y.F.F'51)で、今年のベルリン国際映画祭で銀熊賞(女優賞)を受賞した話題作『グロリア(原題) / Gloria』について、主演パウリーナ・ガルシアとセバスチャン・レリオ監督が語った。

 同作は、58歳で離婚経験のある活発な独身女性グロリア(パウリーナ)が、最後の恋を求めて夜の街に繰り出し、ある日年上の男性ロドルフォと出会い恋に落ちるが、ロドルフォの前妻と子どもの依存した関係に悩まされていくというもの。若手注目監督セバスチャン・レリオがメガホンを取った。

 まるで、パウリーナを想定して脚本を執筆したようだとの問いに、「実は、僕と共同執筆したゴンザロ・マザがまだ脚本に何も記していない状態でパウリーナに電話し、これからあなたのために脚本を書くからと伝えて始まった。もちろん、執筆中には何度も改稿したが、彼女を想定して書いていたことは変わらなかった。彼女が出演することで、複雑な女性としても描くことができたよ」とセバスチャン監督は明かした。

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 この世代(50~60代)の女性を描いたことについてセバスチャン監督は「僕はこの世代に魅了されている。彼らが大人になった頃(1974年にピノチェト将軍による)軍事独裁政権が始まり、それは我々チリ人に大きな影響を与えた。だが、(1989年にピノチェトが選挙で敗れ)社会が民主主義になり、ある意味彼らの世代が自ら社会を変えていったように思えた。だから、彼らが行ってきたことは、この国に大きな関係があるんだ。そのため、僕はこの世代のグロリアのパーソナルで親密な世界を描くことで、観客にこの世代を尊重してもらいたいと思った」と製作意図を語った。

 チリの女優の扱いについてパウリーナは「チリでは女優が演じられる役を探すことは舞台、映画のどちらも大変で、特に50代以上の女優は余計に大変。わたし自身もそんなやり方に同意はできないけれど、この問題はチリだけでなく、多くの国でも言える」と語った。さらにこの役グロリアについては「わたしはこの役だけでなく、日頃から自分の周りに居る人を思い浮かべながら演じていて、今回は姉、母、祖母など、わたしよりも年上の女性を思い浮かべて演じた」と答え、そんな彼女の演技には鑑賞後に拍手喝采が続いていた。

 映画は、年を老いても人生を謳歌(おうか)するグロリアにいつの間にか引き込まれていく完成度の高い作品に仕上がっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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