尾野真千子の主演ドラマ、天皇陛下への直訴シーンなし
足尾銅山鉱毒事件を題材にしたNHK土曜ドラマ「足尾から来た女」のスタジオ収録と会見が12日に同局で行われ、主演の尾野真千子をはじめ、柄本明、鈴木保奈美、北村有起哉らが出席。明治末にたくましく生きる女性を演じる尾野は、事件をほとんど知らなかったと言い「この作品に出会って、ああ、こういうことがあったんだって、知らないことが逆に悔しかった。お芝居を通じていろんなことを伝えていけたら」とメッセンジャーの役割を果たす。
会見では、同事件を告発した政治家・田中正造も描くことについて、「なぜこのタイミングで田中正造なのか?」という質問が飛んだが、制作統括の高橋練氏は「もともと局内では、たびたび話が出ていた」と明かし、「震災などで故郷を失った人など、さまざまな状況の人がいる中で、少しでもエネルギーを与えられるような作品を作れればと思って企画した」と経緯を説明。
また、山本太郎参議院議員が天皇陛下へ手紙を手渡し、直訴した事件に絡めて、本ドラマ内で「天皇陛下への直訴シーンはあるのか」という質問には「そういうシーンはないです」と高橋氏はきっぱり。「楽しいシーンもたくさん出てきます。魅力的な人間ドラマとして楽しんでいただければ」と見どころを語った。
正造役の柄本は、「立派な方。自分とはかけ離れた人物で、自分が演じるのは申し訳ない気もした。(演じてみて)今の福島の原発問題なんかも含めて、人間というのは本当に難しいなと思いました。正造は、ある意味失われていく日本人の典型的な姿という気がします」と感想を述べ、鈴木も「非常に興味深い時代です」と作品についてコメントしていた。(取材・文:名鹿祥史)
ドラマ「足尾から来た女」は2014年1月18日、25日午後9時からNHKで放送