『ホステル』のイーライ・ロス監督が明かす、食人族を扱ったホラー映画とは?
映画『ホステル』のイーライ・ロス監督が、新作『ザ・グリーン・インフェルノ(原題) / The Green Inferno』について語った。
同作は、ニューヨークの活動家の学生グループが、ペルーで違法に森林伐採を行う業者の仕事をやめさせようとアマゾンを訪れ、警察に業者を逮捕させるが、帰りの飛行機がアマゾンに墜落し、生き残った学生たちが現地の食人族に捕らわれたことで、生き残りをかけてサバイバルゲームが始まるというストーリー。 イーライ・ロスの6年ぶりの長編ホラー映画だ。
製作のきっかけは、タランティーノ監督のパーティーだったそうだ。「20人近くの彼の友人が招待されて、『ジャンゴ 繋がれざる者』の脚本を読んだんだ。その場には、リチャード・ケリー監督や脚本家ディアブロ・コディらが居て、ディアブロから『いつ新作を作るの?』と聞かれた。僕は今作のアイデアを披露し、今ハリウッドは安全パイな映画ばかりを製作し、誰も危険な題材を扱わないし、危険な場所でも撮影しなくなったと彼女に語ると、彼女は『ぜひこの映画をわたしのために製作して!』と言ったんだ」と明かした。
ロケーション・スカウトについて「ペルーでボートに乗ってアマゾンの奥地に向かうが、わずか1隻のボートで往復11時間掛かったり、12時間も歩かされたりして、僕とプロデューサーで探索していた時は、一体誰がこんな撮影に参加するだろうかと思ったほどだ」と、いったんは諦めかけたそうだ。ところが「かつてヴェルナー・ヘルツォーク監督の『アギーレ/神の怒り』を撮影していたペルーの川から少し離れたある村を訪れたんだ」と、過去の作品から糸口をつかんだようだ。
その村人たちについて「彼らは、すぐに僕らのカメラやiPhoneに興味を示し、スープをくれたりとてもフレンドリーだった。そこで僕は、ここで撮影できないかとプロデューサーに聞くと、今作の説明をしなければいけないと言われたが、村人たちはテレビさえも見たことがなくて、どう説明したら良いかわからなかった。だが2、3週間後に発電機とテレビを持って、あるビデオをこの村人たちに見せたんだ。それは名作ではなく、何だったと思う? 映画『食人族』だ(笑)。つまり、彼らの映画の概念は『食人族』なんだ!」と明かした。その後、この映画を気に入った村人たちは映画に参加したそうだ。
映画は、イーライ監督でしか製作できない独自の彼の世界観が描かれている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)