エミール・ハーシュとスティーヴン・ドーフが明かす兄弟役に挑戦した新作とは?
若手演技派俳優エミール・ハーシュが、新作『ザ・モーテル・ライフ(原題) / The Motel Life』について、共演のスティーヴン・ドーフと共に語った。
スティーヴン・ドーフ主演&ソフィア・コッポラ監督 映画『SOMEWHERE』写真ギャラリー
本作は、自転車に乗っていた十代の少年を車でひき殺してしまった兄ジェリー(スティーヴン・ドーフ)は、片足をそのひき逃げ事故で失い、弟フランク(エミール・ハーシュ)の助けを借りながら逃避行を図るというもの。ダコタ・ファニング、クリス・クリストファーソンらが脇を固め、映画『バッド・ルーテナント』の製作者アラン&ギャビー・ポルスキー兄弟がメガホンを取った。
ウィリー・ヴラウティンの同名小説を脚色した脚本についてエミールは「最初に読んだ時は、兄弟関係の核心に迫った感情的な作品だが、現実に関して妥協していないと思った。脚本にはフランクが(頭の中で)想像する世界がアニメとして数か所記されていた。それは逃避行から離れた形で描かれ、同時に非現実的な世界をアニメで描いている点が興味深かった。その後、ウィリーの原作も読んで、世間で彼の評価が高いことが出演の決め手となった」と明かした。
エミールとの共演についてスティーヴンは「僕は彼の初期の作品のファンで、彼のリアルな演技は素晴らしいと思っていた。初めて会ったのが10年前のプレミアで、その後別の映画で僕らは兄弟役をオファーされたが、共演できなかった。彼と再会したときには、兄弟役をいつか演じてみたいね、と話していたんだ。映画内では、フランクが片足を失ったジェリーの体を、風呂場で洗ってあげるシーンがあり、僕はそのシーンが気に入っている」と答えると、エミールは「(ネバタ州リノのホテルに滞在していた)僕らはよくブラックジャックをして関係を深めていった」と笑顔で答えた。
ポルスキー兄弟監督の演出について「エミールは『スピード・レーサー』でウォシャウスキー姉弟とタッグを組んだが、僕は兄弟監督との仕事は初めてで、新鮮だった。ただ、兄弟二人ともが主張して困惑することもあった。お互いのアイデアを別々のテイクで撮った時もあったが、彼らはお互い褒め合いながら仕事をしていた。それに、この映画はフィルムで撮影し、音楽、アニメ、キャストなどいろいろな意味で、彼らの選択は良かった」とスティーヴンが答えた。
映画は、兄弟関係の深淵をのぞき、さらに空想のアニメの世界を交錯させながら描く手法で、個性的な逃避行作品となっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)