ジブリ鈴木プロデューサー、ドキュメンタリー撮影は邪魔だった? 鈴木節がさく裂
スタジオジブリの制作現場に密着した映画『夢と狂気の王国』世界最速上映会が15日深夜0時から新宿バルト9で行われ、砂田麻美監督、本作プロデューサーの川上量生、スタジオジブリの野中晋輔制作業務部・取締役部長、そして同じくスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが登場した。
デビュー作『エンディングノート』で話題を集めた砂田麻美監督が、およそ1年にわたってスタジオジブリに密着したドキュメンタリー映画のお披露目ということで、この日のチケットは早々に完売。この日は急きょ、鈴木プロデューサーも来場することとなったが、開口一番、「大変だったんですよ。(僕たちの)仕事の邪魔をしたよね」と砂田監督に先制パンチ。「いえいえ、静かにお地蔵さんのようにいました……」と返す砂田監督に対し、鈴木は「感心したのは彼女、自分の存在を消すんですよ。ハッと気付くとカメラを構えているんですから」とコメント。
さらに初対面のときを振り返り、「最初に彼女のセリフで覚えているのは、何もドキュメンタリーを撮りたいわけではなくて、ジブリを題材に映画を作りたいと言うんですよ。これは殺し文句だったですね」と述懐する鈴木は、「映画を作りたいというのはどういう意味かと思いました。そういう意味でいうと、映画になったよね。真実は何も伝えていないからね」と軽口を叩きつつも、「でも、立派な映画になったと思います、本当に」と砂田監督をねぎらった。
一方の砂田監督は「先週やっと完成したばかりなので、心が半分まだジブリにある感じでフワフワしています」と現在の心境を吐露。そんな砂田監督に対し、「みんなに迷惑をかけたよね。人に迷惑をかけている自覚はあるの?」とちゃかしてみせる鈴木は「なかなか大変な監督ですよ。全部マイペース。段取りだって、彼女の気分次第で全て壊れるんだから」と暴露。さらに「突然、この映画にエチオピアの少女を登場させたらどうだとか、(ジブリで飼っている)なまずを主人公にしようとか言い出す。僕には全く何のことだかわからない。でも映画を観ると、そんな無茶苦茶な人が作ったような映画には見えない。これは先に言っておきます」と鈴木節を交えながら、本作を称賛していた。(取材・文:壬生智裕)
映画『夢と狂気の王国』は全国公開中