オスカー女優ティルダ・スウィントンが語るジム・ジャームッシュ監督の吸血鬼映画とは?
オスカー女優ティルダ・スウィントンが、ジム・ジャームッシュ監督の新作『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』について語った。
ジャームッシュ4年ぶりの新作『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』写真ギャラリー
同作は、何世紀も生き続けたデトロイトの吸血鬼で、ミュージシャンでもあるアダム(トム・ヒドルストン)と、モロッコに住む吸血鬼の恋人イヴ(ティルダ・スウィントン)の間に巻き起こる愛と葛藤を描いた作品。ジム・ジャームッシュ監督が長年温めてきた話題作で、共演者にジョン・ハート、ミア・ワシコウスカらが脇を固めているのも魅力の一つ。
何世紀にもわたりアダムとイヴが恋人同士の設定であることについて「アダムとイヴはアンダーウエアのまま、ふさぎ込んで一日中何もしないようなことがないように、お互いのつながりを再起動させていくの。そして、離れていた二人が側に居ることでお互いをサポートすることになっていく。ただわたしたち(製作陣)は、一般のカップルが初めてお互いに性的な魅力を感じ、長い間ベッドに居るのと同じように、アダムとイヴも(観客にとって)なじみのあるようなカップルにすることを明確にしたわ。それに二人は何もかも全てを話してきたカップルでもあるの」と語った。吸血鬼であっても、人間性のあるカップルのようだ。
イヴの特徴ある衣装について「イヴは特定の時代にとらわれずに自由な発想で描かれている。ジム監督と衣装デザインを担当したビナ・ダイヘレルは、近代のファッションやファッションのかけらもないものは削除しながら手掛けていたから、どの時代にも当てはまるような衣装と言えるかもしれないわ」と明かした。
撮影でチャレンジしたことは「いちばんのチャレンジは、わたしたちは今作を長い間製作したいと思ってきたから、一度撮影が始まると、自分たちのエネルギーを逆に出し過ぎないようにペース配分をすることだった。ジム監督は長い間わたしに今作について語ってくれていたけれど、彼は毎年映画を製作するタイプじゃないから、その製作のペース配分がチャレンジだった。でもそのチャレンジは、あえてわたしが望んだことでもあるわ」とジム監督と過去にタッグを組んだことのある彼女らしい発言だった。
映画は、これまでとは違った独特のヴァンパイアの世界観で、まさにジム・ジャームッシュらしい個性的な演出がなされている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)