『選挙2』山さん、2015年統一選挙出馬宣言!
第10回ドバイ国際映画祭
アラブ首長国連邦(UAE)で開催された第10回ドバイ国際映画祭アジアアフリカ・ドキュメンタリー部門で、想田和弘監督の映画『選挙2』が上映された。会場には、出演者の山内和彦さんがラストシーンと同じく防護服を着て登場し、観客を驚かせた。
同作品は、東日本大震災直後の2011年春に行われた川崎市議会議員選挙に出馬した“山さん”こと山内さんの選挙活動を追った観察日記。想田監督は新作撮影中のため現地入りできなかったが、代わって山内さんは「今、日本では自由と民主主義が脅かされています。その始まりは2年前の選挙にあったのではないかと思い、今年初めに急きょ映画化しました。震災直後の日本人が何を考え、どう行動したのかを感じ取ってほしい」と思いを伝えた。
山内さんは2005年の川崎市議会議員宮前区補欠選挙に自民党公認候補として出馬し、初当選を果たした。しかし2011年の選挙は、脱原発を訴えて無所属で再出馬したものの落選。現在は主夫である。以来、脱原発の思いはさらに強まり、来る2015年の統一地方選挙出馬を虎視眈々(たんたん)と狙っているという。
山内さんは「早めに宣言しておかないと(撮影するであろう)想田監督に文句を言われますから(笑)。今度は、脱原発はもちろんですが、自由と民主主義を守る闘いだと思っています。(古巣の)あの政党が暴走するとは僕も思わなかった。中曽根(康弘)元首相の時代だったら、特定秘密保護法にあれだけ反対の声が上がったらひるんでいたと思うんです。現政権は自分たちのためなら、国民が嘆いても良いと思っているのでしょう」と持論を展開した。
再選を目指す山内さんにとって、2020年の万国博覧会開催に沸くドバイの活況は刺激になったようだ。「20年前にトランジットで降り立ったときには何もなかったのに、今や日本とすっかり立場が逆転してしまった。その悲しさが何とも言えない。外国から企業と人を招いて国を豊かにするという、確固たる国家戦略があるのは大切。この国から学ぶことはいっぱいあると思いますよ」と語り、上映の合間にも積極的に街へ繰り出していた。(取材・文:中山治美)