山田洋次『小さいおうち』ベルリン国際映画祭コンペ部門に選出
巨匠・山田洋次監督の新作映画『小さいおうち』が現地時間2月6日に開幕する第64回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に選出された。グランプリの金熊賞を競う同部門で、宮崎駿監督作『千と千尋の神隠し』(2002年度)以来12年ぶりの日本作品受賞に期待がかかる。
『たそがれ清兵衛』(2002)以降8作品連続でベルリン国際映画祭に出品し、『母べえ』(2008)以来6年ぶり5作品目のコンペ部門選出となる山田監督。2010年には特別功労賞にあたるベルリナーレ・カメラを受賞し、昨年は『東京家族』(2013)がベルリナーレ・スペシャル部門で上映された。
映画祭ディレクターのディーター・コスリックは「山田洋次監督はベルリン国際映画祭の長年の友人であるだけでなく、世界の映画界における最も偉大な巨匠の一人です。彼の映画は常に、人間について語ると同時に、観る者に日本の歴史について興味深い見識を与えてくれます」と語り、本作を「コンペティション部門で上映できることを誇りに思います」とコメントしている。
「何故かぼくの作品はベルリン映画祭に縁がある、というよりベルリンにしか縁がないといった方がいいのかもしれません」と表した山田監督は、昨年の上映会のあいさつで「次の作品は『小さいおうち』でこの作品もまたベルリン映画祭で上映されることを期待しています、などということを語ってしまいました。そしてそれが本当に実現したのです。嬉しくないわけがありません」と喜んでいる。
上映日時や映画祭参加は調整中だが、山田監督は「長旅はつらい年令になってしまいましたが、なんとかして出席しなくては、と思っています」と渡航に意欲を見せている。カンヌ、ベネチアと並ぶ世界三大映画祭の舞台で注目を集めそうだ。
『小さいおうち』は、中島京子の第143回直木賞受賞作が原作のラブストーリー。昭和と平成の2つの時代を舞台に、お手伝いさん(黒木華)が女主人(松たか子)に隠した秘密にまつわる物語が描かれる。(編集部・小松芙未)
第64回ベルリン国際映画祭は現地時間2月6日から16日まで開催
映画『小さいおうち』は1月25日より全国公開