銀座シネパトス閉館から約1年…最後の公開作キャストが劇場への思い振り返る
銀座の名画座「銀座シネパトス」の閉館からおよそ1年たった今月3日、同館が舞台となる映画『インターミッション』の特別番組「映画監督:樋口尚文のインターミッション放談~これが昭和の逆襲だ!~」(ファミリー劇場)の収録が都内で行われ、メガホンを取った映画評論家の樋口尚文、夏樹陽子、森下悠里、大瀬康一、中丸シオンが出席した。
建物の老朽化と耐震性の問題から劇場の入る三原橋地下街の取り壊しが決定し、多くの映画ファンに惜しまれながら昨年3月31日に閉館した銀座シネパトス。収録された番組では、同館最後のロードショー作品『インターミッション』にも登場し、三原橋地下街で現在も唯一営業を継続する「カレーコーナー三原」に樋口監督と出演者たちが集い、トークを繰り広げる。
番組の収録終、樋口監督は同館について「シネパトスはアート系からB級アクション、ピンク系まで何でも上映する、昭和の勢いを残す何でもありの映画館でした」とコメント。「(『インターミッション』は)鎮魂の意味で作った映画ですが、こういう映画館がなくなっていいのか、という怒りがまだあります。まさに(番組タイトルにある)昭和の逆襲です」と現在の心境を明かす。
映画は全国の劇場で上映されたが、樋口監督は「横浜のシネマ・ジャック&ベティで舞台あいさつをしているときに、客席でおえつしている方がいたんです」と述懐。「誰だろうと思っていたら、シネパトスの番組を編成している人だった。『映画に残してくれたのがありがたく思えて泣いちゃいました』と言ってくれて。そのとき、この映画をやってよかったのかなと思いました」としみじみと付け加えた。
また主演作『映画版 ふたりエッチ』シリーズが上映されるなど、シネパトスと馴染みが深い森下も「わたしは映画が好きなので、お客さんとしても通っていましたし、わたしの映画も上映してもらいました。そんなお世話になった劇場がなくなると聞いてとてもショックだった。そんなときに樋口監督に『インターミッション』のオファーをいただいて本当にうれしかったんです」と笑顔。同館に対する思い入れの深さをうかがわせた。(取材・文:壬生智裕)
特別番組「映画監督:樋口尚文のインターミッション放談~これが昭和の逆襲だ!~」は3月6日25時、映画『インターミッション』は3月16日24時10分よりCSチャンネルのファミリー劇場で放送予定(共にリピートあり)