『アメリカン・ハッスル』デヴィッド・O・ラッセル監督が“もがく人々”を作品にする理由とは?
第64回ベルリン国際映画祭
第64回ベルリン国際映画祭で映画『アメリカン・ハッスル』の会見が行われ、デヴィッド・O・ラッセル監督、出演のクリスチャン・ベイル、出演のほか製作総指揮も務めるブラッドリー・クーパー、プロデューサーのチャールズ・ローヴェンが出席した。
アメリカで実際に起こった収賄事件をコメディータッチで描いた本作。クリスチャンは薄くなった毛髪を無理やりなで付けている太った詐欺師、ブラッドリーはチリチリパーマのFBI捜査官にふんしており、すぐには誰だかわからないほどだ。そんなキャスト陣をラッセル監督は「『これ誰?』と観客が言うんだよ。それはほめ言葉だね」とたたえた。
しかし、笑わせるだけではない。厳しい立場に置かれ、弱っていく主人公の哀れな場面は胸に響く。そんな本作をクリスチャンは「悲劇か喜劇かなど、カテゴリー分けできるようなものじゃない」と表現。一方のラッセル監督は「わたしは離婚して、たくさんエネルギーを使った。人はそういう状況で何とかしようともがくんだ。皮肉るようなことはできない。皮肉るような余裕なんてない。僕の息子だって、もちろん皮肉っている余裕はなかったはずだ」と語った。もがく人々を作品としていくことで、苦しい状況を持ちこたえられたというラッセル監督に、記者団から拍手が贈られた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)
映画『アメリカン・ハッスル』は公開中
第64回ベルリン国際映画祭は16日まで開催