ハリウッド版『そして父になる』主演にクリスチャン・ベイルを希望!
第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞し、スティーヴン・スピルバーグ監督率いるドリームワークスでのリメイクも決定、興行的にも大ヒットとなり、2013年を代表する映画となった『そして父になる』。DVDリリースを目前にした是枝裕和監督が、スピルバーグ監督との秘蔵エピソード、リメイクで希望する配役、そして主演・福山雅治との再コラボレーションまでを豊潤に語った。
リメイクに関する会談は昨年ロスで行われ、是枝監督はスピルバーグ監督作『シンドラーのリスト』を再見した。製作から約20年になるが、残忍な所長と主人公シンドラーが対にして描かれているなど初見時にはなかった気付きがあり、「もう涙が止まらなくなっちゃって、どうしようかと思いました(笑)」と語るほど感動したという。
対面したスピルバーグ監督に血の色がとても印象的だったと伝えると、モノクロでは赤は逆に赤く見えないので血は全部紫で作ったという撮影秘話が語られた。巨匠との個別ティーチインに「なんて贅沢なんだろう」、そんな感慨があったと是枝監督は振り返る。
一方でスピルバーグ監督も『そして父になる』を大いに気に入った様子で、「リリー・フランキーというのは日本で有名な役者なのか?」「電気屋の家にいた一番小さな男の子は天才だ」「女2人が川岸で抱き合うところがいい」といった、ディテールまでよく記憶した質問と感想をぶつけてきたそうだ。
是枝監督作品のリメイク権が売却されたのは実はこれが3回目。2000年には『ワンダフルライフ』が大手に、昨年は『誰も知らない』がイギリスで売却されたというが、どちらもまだ完成には至っていない。是枝監督は『そして父になる』のアメリカ版で希望する配役を、「福山さんの役がクリスチャン・ベイルで、リリーさんの役がジャック・ブラック。女優陣は『ドライヴ』のキャリー・マリガンがいいけど、まだ若いんだよな」と楽しげに話し、「撮影も見学に行こうかなと思っています」といち映画ファンのように語った。
是枝監督は精力的にティーチイン行い、続編を望む声が観客から聞かれたが「続きは皆さまの中で……という感じで、全然思いつかない」とのこと。しかし「同じキャストでちょっと形を変えて、みたいなことはやりたいし、福山さんはまた何か別の企画で撮りたい」と再タッグに期待を抱かせていた。(長谷川亮)
映画『そして父になる』ブルーレイ&DVDは4月23日発売、レンタル同時開始(発売元:フジテレビジョン 販売元:アミューズソフト)