ディズニー・アニメーションの新時代!初の女性監督、初のWヒロインを生んだ作品の“常識破り”
『ライオン・キング』『美女と野獣』を生み出したディズニー・アニメーション史上最大のヒットを記録している『アナと雪の女王』で監督を務めたジェニファー・リーとクリス・バックが、制作の裏側を明かした。これまでに多くの名作を世に送り出してきたディズニーだが、本作は結果的に、過去作で築き上げてきた「ディズニーの常識や価値観」を覆す作品になったという。
ディズニー・アニメーション・スタジオの長編映画において、史上初の女性監督となったジェニファーだが、実はそのことには制作が終盤に差し掛かるまで全く気が付かなかったという。「取材で質問されて、初めて気が付いたんです。だから、そのことで無用なプレッシャーを感じることはありませんでしたね」とジェニファー。実際、スタジオには年を追うごとに女性スタッフが増えており、「初の女性監督」という肩書についてもジェニファーは「スタジオ中の女性を代表することができたのは本当に名誉なことです」と謙虚な姿勢を崩さない。
そんな初の女性監督を擁する本作は、ディズニー映画史上初となるWヒロインの主人公、さらには“真実の愛”をめぐるストーリーなど、新しい試みがたくさん盛り込まれている。だが、そうした方向性を主張したのは意外にも女性のジェニファーではなく、男性のクリスだった。1978年からディズニーに参加している大ベテランのクリスは制作開始当初を振り返り、「もちろん抵抗はありました。初めてやることばかりでしたから……でも、僕たちにはこうしたことに挑戦する準備ができていた。もちろん、それを受け止める観客にもです」と明かした。
中でも最も異彩を放っているのは、本作で描かれる“真実の愛”の形だろう。これまでのディズニー映画では『シンデレラ』『白雪姫』に代表されるような「ロマンチック・ラブ」(たった一人の運命の人と巡り合い、その恋が成就するという考え方)が描かれてきた。だが、この映画ではこれまでディズニーが築き上げてきた価値観にひねりを加えている。
脚本も手掛けているジェニファーは「クリスには『この映画のどこをどう変えてもいい。ただし、結末はダメだ。それだけは変えちゃいけない』と言われたわ」と笑いながら、舞台裏を告白。まるで思春期の少年のように照れた表情を見せたクリスは「僕は結婚してもう20年になる。そして、ずっと『リアル・ラブとロマンチック・ラブの違いは何なのだろう?』と考えていた。だから、僕はこの作品で王子様とキスする以外の愛の形もあるんじゃないかと思ったんだ」と明かすと、「それは、これまでディズニーが描いてきたような『真実の愛』を定義し直すことにもなると思う」と語り、ディズニーの新たな時代の到来を予感させた。(編集部・福田麗)
映画『アナと雪の女王』は全国公開中