志茂田景樹、ゲイカップルはレズビアンよりサラリとしてる?
作家の志茂田景樹が28日、シカゴ国際映画祭ほか全米の映画祭で観客賞を総なめにした話題作『チョコレートドーナツ』の女性限定トークイベントに映画ライターの新谷里映と共に出席した。
本作は、1979年の米カリフォルニアを舞台に、母親に見捨てられたダウン症の少年と、彼と一緒に暮らすために司法や周囲の偏見と闘うゲイカップルの姿を描いた実話ドラマ。ゲイであるが故に法の壁に阻まれながらも、少年を守るため奔走する主人公たちの無償の愛が胸を打つ。主演はテレビドラマ「グッド・ワイフ」シリーズのアラン・カミングと、『LOOPER/ルーパー』などのギャレット・ディラハント。監督は『17歳のカルテ』などに出演する俳優のトラヴィス・ファインが務めている。
この映画に深い感銘を受けたという志茂田は、「普通、家族愛は血のつながりの上に絆があって成り立っているが、この映画では血のつながりがないのにあれだけの家族愛がある。本当の愛を訴え掛けてくるようで、随所で心がズキズキしたね」と絶賛。観終わった後は希望も感じたといい、「テーマは深いけれど、決して重くないよね。主人公の二人が対照的でどこかユーモラス。ゲイのカップルは、レズのカップルよりもサラリとしていて嫌みがないでしょ」と持論を展開した。
また、身寄りが亡くなった孤独な少年について、「彼はいつも人形を抱いているでしょ。あれは自分を理解してくれる唯一の友達、話し相手ですよね」と語り、おもむろに自宅から持参した人形を取り出す志茂田。「僕も人形が大好きで、これは首の短いキリンの人形なんだけど、よくお話するんですよ。『僕は首が短いけど、仲間は長いんだよ』と語り掛けてもきますよ」と志茂田ワールドをさく裂させ、会場をほのぼのとした笑いで包み込んだ。(取材・文:坂田正樹)
映画『チョコレートドーナツ』は4月19日よりシネスイッチ銀座ほかで全国順次公開