長山藍子、三國連太郎との共演作公開にうれし泣き
女優の長山藍子が15日に東京都内で開催された、三國連太郎さんと共演した未公開作品『朽ちた手押し車』のトークイベントに出席した。1984年に撮影された同作は、グランプリを獲得した昨年の「お蔵出し映画祭2013」で約30年越しの初公開。長山はその時のことを「涙が流れて流れて、仕方なかった」と万感の思いで振り返った。
本作は、1984年に島宏監督によって撮影されたものの、180本を超える三國さんの出演映画の中で、唯一未公開となっていた作品。昭和59年の新潟県の漁村を舞台に、超高齢化社会の問題と家族愛を描く。長山自身も「お蔵入りしていたことはお蔵出し映画祭の時に初めて認識した」といい、昨年の初上映については「終わったら、お客さんからすごい拍手をいただいて、また涙が流れました。感動してくださったことが伝わってきて、こちらが感動させていただきました」とあふれる思いを語った。
長山が「時代が今なんです。(30年前は)先取りしていた」と話す、老人介護をテーマにした物語もさることながら、本作の見どころは何といっても三國さんの壮絶な演技。当時61歳の三國さんが、毎日2時間以上をかけたというメイクで80歳の老人にふんし、長山いわく「作品では、失禁したり脱糞するという凄惨なシーンがありますが、わたし自身も役者でありながら怖かったです」とのこと。
「実際には、全て作り物なので、臭いがするわけでもないのですが、そこから臭いが漂っているような気がしました」と間近で見たからこそ感じた演技のすごみを語ると、「(三國さんの演技は)デフォルメされているのではなく、それが現実の(認知症患者の老人の)姿であろうなと思わせる。それでいて、おじいちゃんのかわいらしさがある」と絶賛。「とても心に迫るボケの演技です」と三國さん入魂の演技について語っていた。(取材・文:嶋田真己)
映画『朽ちた手押し車』は5月3日より丸の内TOEIほかで公開
なお、本作はより多くの人に作品を観てもらうため、全国の劇場50館での公開を目指してクラウド・ファンディングにも参加している。